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黎明期のジャンプの空気伝わる政治漫画「やぶれかぶれ」 [名作紹介]

「やぶれかぶれ」は本宮ひろ志が政治の世界に飛び込む様を描いたドキュメンタリー漫画だ。

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週刊少年ジャンプの大ヒットの先駆けとなった本宮氏は鳥山明や秋本治などの新たな才能をもった作家の時代到来を予感し、創作活動への情熱を失い休筆中。そんな新世代の作家らと読み切りの競作をしないかと編集者が口説き落とそうとするところから話が始まる。そこで本宮氏は政治の世界をもっとわかりやすく出来ないだろうかという着想を得る。周囲に大反対されながら、元首相で当時ロッキード裁判でマスコミの話題を独占していた田中角栄に会うことを目標に作品に取り組む…というのがあらすじ。

車田正美の「リングにかけろ」の大ヒットで集英社にに「リング階段」が出来た頃の話。車田の担当者に「ネームで苦しむほどの話かよ」と暴言を飛ばすものがいたり、のちに魁男塾で大ヒットを飛ばす宮下あきらが「キックオフ」のヒットに頭を痛めていたり、当時のジャンプの空気が伝わってくるのが実に面白い。他にも、本宮氏のちょっと書くのを躊躇われる家庭の事情を盛大に暴露しているのもすごい(妻に露悪趣味をなじられるシーンがある)。

肝心の政治家の対談シーンが写真の切り貼りが多かったり、多すぎるネームを処理するのをあきらめて、もはや漫画の体をなさなくなっているのが残念。この辺は対談してくれた政治家に対する義理立てで、本宮氏的にはあまり面白くなかった箇所なのではないかと思う。(話がそれるが、むかし「加治隆介の議」で「政治討論番組がつまらないのは司会者が政治家にじっくり喋らせようとするからだ」というシーンがある。)しかしラスボスである田中角栄との対談はじっくり書き込んでいて、アポをとるシーンからして緊張感があって必読だ。

アンケートの結果が悪ければ10週打ち切りという条件で始まったこの漫画だが、結果は良くなかったようで、氏自ら作中で失敗作と語っている。ちょっと時代が早すぎたのではと思う。

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やぶれかぶれ 第1巻

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  • 出版社/メーカー: サード・ライン
  • メディア: Kindle版



やぶれかぶれ 第2巻

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やぶれかぶれ 第3巻

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タグ:本宮ひろ志
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