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ちょ、待てよ!キムタク主演で映画化、沙村広明の「無限の住人」を読め! [名作紹介]


新装版 無限の住人(1) (KCデラックス アフタヌーン)

新装版 無限の住人(1) (KCデラックス アフタヌーン)

  • 作者: 沙村 広明
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/08/23
  • メディア: コミック


本屋に行ったら、「無限の住人」の愛蔵版が出ていた。実写映画に便乗した企画のようだ。映画版を監督する三池崇史のジャンクフード的な作風は海外にもファンが多い。主演は木村拓哉だそうだ。武士の一分などは古参の監督に遠慮したような抑えた演技が良かったが、無限の住人ではいつもの木村拓哉が出てきそうだ。
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さて、無限の住人とはどんな漫画なのだろう。
1993年に投稿作品として、のちに第一話となる読み切りが講談社のアフタヌーンに掲載。この当時、アフタヌーンといえば「寄生獣」が大人気。それにつられて「発見」。どこか大友克洋っぽいが、見たことのない立体感を持った作画に惹きつけられ、バックナンバーを読み漁ったのを覚えている。「ネオ時代劇」と煽られていたが、まさに絶妙のキャッチコピー。幕末を舞台にしているが、独特のファンタジック感も新鮮だった。
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勝つためなら手段を選ばない剣客集団「逸刀流(いっとうりゅう)」の道場破りによって父母を殺された少女、浅野凛。不老不死の侍「万次(まんじ)」を用心棒に、仇討ちの旅を始めるという話。ちなみに連載が開始された翌年、週刊ジャンプにて「るろうに剣心」の連載がスタートしている。はいからさんが通る的な世界観で剣客モノとはマニアックだなと思ったが、単行本の一巻は大層な売り上げだったようで、ドラゴンボールやスラムダンクの後釜として集英社から期待されるようになったと思う。むげにんの「逸刀流」に対する、るろ剣の石動雷十太の「真古流」。むげにんのヒロイン「凛」の必殺技「黄金蟲」に対する、るろ剣の巻町操の「貫殺飛苦無」など、ネタが被ってる部分があったことは薄くイラッとさせられた。

「真古流」でネタが被った上に上手く展開できなかった迷走する「るろ剣」は、その後すぐ「京都編」で少年漫画の王道的展開になって大ヒット漫画の地位を歩みだす。しかし無限の住人は初期ほどのインパクトある展開がなく、「手術漫画」などと揶揄されながら(主人公の不老不死の謎を探る展開になる)2013年に20年にわたる長期連載を終える。2008年にアニメ化。。ちなみにに実写映画化の話は2003年ごろにもあった。
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無限の住人の初期のインパクトの中でも最大のものは、やはり黒衣鯖人(くろいさばと)の存在だろう。主人公が初めて戦う剣客で、両肩が異様に盛り上がったシルエットが異彩を放つ。その正体は人間キングギドラであった。戦うのにあまり適しているとは思えないが。作者の沙村広明はかなりハードコアなSMの気があり、それが作家性の核となっていて、同作品内ではかなり痛々しい描写があるがまだ同作家の他の作品と比べて大人しい方である。三池監督で実写映画化するのなら、この辺をどう表現するのかが楽しみになってしまうが、主演が木村拓哉というウルトラメジャーな存在なので、あまり攻めた表現は期待できないと思われる。
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Gヒコロウの「みんなはどう?(1998年)」にも黒衣鯖人ネタがある。

ちなみに、これを書いている2016年9月現在、1〜3巻がAmazonにて無料でダウンロードできるようだ。
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