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漫画の描き方が書かない漫画の描き方を考察する?記伊孝の「巨匠と過ごす夏」 [漫画の描き方が書かない漫画の描き方]

Kindle読み放題で「巨匠と過ごす夏」という漫画を見つけた。
「となりの山田くん」が作られていた頃、スタジオジブリで一般の参加者を募って行われた演出家育成講座。その参加者の回想漫画であるらしい。

予備知識なしで見たので、ジブリで一定のキャリアを得た人が過去を回想して描いてるのかなと思いながら読んでいた。宮崎駿は似ているものの、なんか微妙な絵柄だなとページを読み進めていると鈴木敏夫プロデューサーが登場。この絵を見て一気に期待が高まった!
巨匠1.png
読後の正直な感想は「面白いけど、いまいち消化不良」。宮崎、押井、庵野、高畑などなど、講座に出てくる巨匠たちは魅力的で、いつまでもこの世界に浸っていたいとまさにプロの筆力を感じるのだが、それ以外の一般人の描写はいまいちで浸っていたくない。この世界観の温度差のメリハリが、少し難しそうな作者の人間性を感じてしまうのだ。
巨匠2.png
作者はこの講座の後にプロの漫画家になったそうであるが、自分はこれまで全く知らなかった。現在は作品を全て自分で管理し、電子書籍を主戦場にしているらしい。「アニウッド大通り」が看板タイトルで、この「巨匠と過ごす夏」はその単行本のオマケ漫画をまとめたものだと知り、いろいろ納得がいった。アニウッド大通りを現在2巻まで読んでいる。まだ判断しづらい部分もあるが面白い。何より絵が上手い。


さて、この漫画で登場する○端さん。
理屈が好きで、自信過剰気味。
自分の作品は作らないが、他人の作品には辛辣。
巨匠3.png
ありがちなプロ志望者である。

作者も「理想が高すぎて描けなかった時期」があったと回想している。理屈好きは作品制作の上で落とし穴なのである。脳は発達するが、筋肉は鍛えてないので望んだ成果が得られない。やる気が出ない。だからいつまでも筋肉が鍛えられず、望んだ成果が出ない。悪循環である。そして筋肉を鍛えるのは地道で、長い時間がかかる作業なのである。ちなみに「巨匠と過ごす夏」では宮崎駿が暇を見つけては常に絵を描いている描写がある。
巨匠4.png
○端さん系の人たちに仮に分析力があったとして、「なぜ描けないか」に分析が及ばないと言うのは不思議である。つまり出来上がった作品に対して、上澄みしか見てないと言うことなのだと思う。作品批評というものは、エベレスト登頂に成功した人に「ガッツポーズがなってない」と文句つけるようなものである。お客様であるなら過程はあまり関係ないかもしれないが、作り手の立場に回るならそうはいかない。プロの漫画家に対し「何百倍の競争率を勝ち抜いて連載を勝ち取って、平均睡眠時間3時間で毎週描き続けた上で、お前より面白い作品作れるぜ!」と、なかなか言える人はいないと思う。


巨匠と過ごす夏(前): 宮崎駿と13人の塾生

巨匠と過ごす夏(前): 宮崎駿と13人の塾生

  • 出版社/メーカー: 記伊孝
  • 発売日: 2015/12/29
  • メディア: Kindle版



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タグ:宮崎駿 批評
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