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西部邁が自決。「電車の中で漫画を読んではいかん」発言の真意。 [心に残る1コマ]

西部邁が自殺したという。
ゴーマニズム宣言に出てた人という知識しかないが、出演シーンはどれも印象的だった。
ちなみに自分がゴーマニズム宣言を読み出すキッカケはオウム事件だったので、西部邁を知ったのは「新ゴーマニズム宣言」1巻に収録された小林よしのりと和解するシーンになる。そんなことはすっかり忘れていた。
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「漫画を愛読書だというのは家系の恥」と発言した西部邁をバッシングするのが旧ゴーマニズム宣言の5巻なので、二人が和解するまで実に単行本5冊分かかっていることになる。思ったよりも長かった。
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「いや わし考え変わりました。電車の中でマンガ読むのダメですよ。」
西部氏は無言で握手してきた。
番組中わしは価値びん乱状態の雑誌にイヤ気がさして連載をやめてしまった心情を基に語り始めた。

「戦後あらゆる価値が相対化されてそこら中に異常者がはん濫している。ギャグ漫画家が相対化して笑うべきものがなくなってきているほどだ。」

これを受けて西部氏は興味深いことを言う。
「戦後 気の変な人の表現・行動をユニークだとかオリジナリティがあると言ってほめたたえるところがあるが私は狂人にも一抹の魅力があることを認めるためにも、こちらが正気であらねばならないと思う。」
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「戦後 異端がすばらしくて正統・オーソドキシィが退屈なものであるという大いなる誤解から始まったが…正気というものは面白く魅力あるダイナミックなものだ。人間ってのは常識も正気も正統も歴史によって支えられるんですね。」

う〜ん わしが前の雑誌をとび出すことになったイラつきをみごとに言いあててるような。そしてわしはサブカルチャーとしての「ゴー宣」からメインの知識人の責任感を撃つためにあえてこう発言した。

「西部さんの言うとおり『電車の中でマンガなんか読んではいかん』のですよ」
マンガをどこで読んでも恥ずかしくないものとして認知してゆき、そのうち高尚な文化、メインの文化とまで持ち上げられるようにでもなってみろ。その時マンガは滅ぶ!あくまでもサブカルチャーの位置からメインをおびやかすのだ!

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薬害エイズ訴訟を支える会の志奈ちゃんが「知識人の知恵を借りたい」と訴えると、じっとそれを聞いていた西部氏がこう言った。

「もしもぼくの妹がそういう形でエイズになったとしたら…血液製剤を作ったプライベート・カンパニーにまず爆弾を投げたい。そしてそーいう情報をうすうす知りながらほったらかした厚生省にバズーカ砲でもぶちこみたい。つまりぼくが何を言いたいかというと小林くんから叱られるかもしれないがこの世には残酷なことは数限りなくあってムチャクチャなんですよ。別に官庁だけでなく民間企業も全部そうなんですよ。うらみをのんで死なねばならなかった人が山ほどいて、ぼくは愛する人がそーいう目にあったらサリンでも何でもまく…」
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西部氏は保守だ。あえて憎まれ役を買って出ても官僚を守るような発言をする。彼は官はやっぱりエリートで民は相当愚かと思っている。官僚をバッシングばかりしているが誰か彼らに代われる能力を持つ者がいると思っているのか?と言いたげだ。そしてわしや若者たちに世の中の不条理にいちいち本気になってもしょーがないと一面の真理を教えようともしている。確かにな。この世の不幸全てを救済しようと思ったらオウムになっちまう。

以上、印象深かったコマを紹介してみた。
小林よしのりはブログで「予告通りに自分で自分の人生に決着をつけるとは立派だ。」とコメントしている。

 

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