アメコミ史に残る名台詞「銀ピカのゾンビを吊るせ!」を生んだメビウスの「シルバーサーファー」 [名作紹介]
シルバーサーファーの邦訳版が出ていた。
空飛ぶサーフボードに乗った宇宙人の漫画。
たぶん名作回と言われているであろう、メビウス作画の話が載っているらしい。
この話を読んだのは1996年発行のマーヴルクロス2号。
マーヴルクロスは当時小学館プロダクションが取り組んでいた、アメコミ邦訳雑誌。
今でこそ街ゆくおばちゃんでもロゴTシャツを着てるほど普及したMARVELブランド。それもこれもアイアンマンやアベンジャーズなどのアメコミ映画の大ヒットのおかげ。1996年はマクファーレントイズのフィギュアのヒットや、トライガン、るろうに剣心などのアメコミに傾倒する作家による布教活動があったが、一般に浸透することはなかった。
和月伸宏が「るろうに剣心」12巻の中で、この話を絶賛している。
字が汚くて読みづらいが、
「今まで全然気に求めてなかったのだけどこんなに奥が深い話だったとは!!気高い!気高過ぎるぜサーファー!そして余りにも孤独…。早速仕事場のみんなに布教。機会があったら皆様も是非御一読を。」と書いてある。
ギャラタスという「神」が人類を滅ぼそうと地球に降臨したのを、シルバーサーファーが食い止めるというあらすじだが、オチが結構な評判となったようだ。
ギャラタスを追い返すことに成功したサーファーは人類から崇め奉られるのだが、「こういうとこって人類ダメだよねー」と思って、わざと高圧的な態度に出て嫌われ役を買って出る。あっさり人類は手のひらを返し、「銀ピカのゾンビを吊るせ!」というアメコミ史上に残る名台詞を吐き出す。一人だけ真意を知っていた男がサーファーを庇うのだが、その声は群衆の怒号にかき消され誰にも届かず、サーファーは地球を去り、宇宙から一人孤独に人類を見守るのであった。。。
映画「ファンタスティックフォー」の2作目で実写化されている。
見たんだけど、オチでサーファーが暴言吐いたのかどうか記憶にない。
ちなみに作画のメビウスといえば、漫画の歴史を語る上で外せないとよく言われる大友克洋に影響を与えた作家として知られている。自分はそのすごさをよくわからない(ちなみに大友克洋もよくわからない)のだが、このシルバーサーファーの話を読んでも同様だった。
シルバーサーファーはすごいシンプルでポップな絵なのだが、マーヴルクロスには書き込みまくられた没バージョンやメビウスのコメントも掲載されており、その作画の落差に驚く。
こっちの絵で見たかったなあと思うのだが、メビウス的には「書き込めば良い仕事した気になるけど、実際にそうとは限らないよ」みたいにコメントしている。
Marvel X 2―アンソロジー (マーヴルスーパーコミックス 25)
- 作者:
- 出版社/メーカー: 小学館プロダクション
- 発売日: 1996/06
- メディア: コミック
Marvel X (1) (マーヴルスーパーコミックス 24)
- 作者:
- 出版社/メーカー: 小学館プロダクション
- 発売日: 1996/04
- メディア: コミック
コメント 0