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国に操られた漫画家たち。1986年のエイズ漫画事情。 [心に残る1コマ]

エイズ終息に7500億円必要というニュース。

それだけあればあの病気がなくなるのかあ。。。
もうそこまできてるのか。。。
あとはガン根絶だな。

ところで修正されたこち亀の「エイズなんてどんとこいだ」は秀逸なギャグだと思う。
昔は結構エイズがギャグにされていた。

週刊少年サンデー、安永航一郎の「陸軍中野予備校」
エイズ中野2.png

花とゆめ、魔夜峰央「パタリロ!」
エイズパタリロ!20.png

アニパロコミックスにおけるとみいみく(丹沢恵)の漫画。
エイズアニパロ16昭和61.png

引用したとみいみくの漫画はスタートレックのパロディだが、とみいみくは同誌でヤングシャーロックホームズをネタにゲイの世界を描いていた。

当時、エイズはゲイがなる病気というのが一般の認識だった。ゲイが少ない日本では、自分達には関係ない外国の面白病という認識だったのだと思う。婦女子にネタにされていたのは、もうどうしようもないと言える。

弘兼憲史の「課長島耕作」では、顧客がゲイだと知ってショックを受けた島耕作の背景に大きく「エイズ」と描かれたコマがあった。もうゲイはエイズの代名詞になっていたのである。現在の価値観でみるとすごい話だ。
エイズ島86.png

所有の文庫版をチェックしたら黒く塗りつぶされていたので、当時の世相を知る資料として、わざわざ初期単行本を購入し直す。文庫版は1995年。初期単行本の初版は1987年だが、購入したのは1992年の29刷。この3年で何か認識が改められたということになるのかもしれない。
エイズ島86修正.png

小林よしのりの「新ゴーマニズム宣言」によると、この「ゲイ=エイズ」の偏見は意図的にイメージ作られたものであるという。エイズは1982年に血液感染する病気だと一部の識者に知られ、すぐに輸血用にストックされた血液が危険だと日本でも指摘されたそう。しかし製薬会社との癒着により、厚生省や医師らがそれを無視。同性愛者でない、多くのエイズ患者を量産。批判の矛先を逸らすために1985年に同性愛者を患者第一号に認定し、PR活動を行ったという。結局、薬害エイズは大問題になって国が謝罪するのだが。
エイズ新ゴーま2.png
ちなみにエイズをネタにした漫画を調べてみると、手持ちのものは86年が多い。陸軍中野予備校、とみいみく、課長島耕作、雑誌掲載時期が全て86年の作品である。やはり85年の印象操作が効いているんであろうか。ちなみにこち亀は87年。パタリロ!だけ1983年と早かった。パタリロ!といえばゲイ漫画でもある。ノーマルのパタリロを「歩くエイズ」扱いしているのは、ゲイのバンコラン少佐という不思議な構図。そもそも「歩くエイズ」というのは変な表現だ。エイズ患者は歩くだろう。が、そうではなく病原菌そのものとしてパタリロを嫌悪しているという解釈だと深い。

 

新・ゴーマニズム宣言〈2〉

新・ゴーマニズム宣言〈2〉

  • 作者: 小林 よしのり
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 1997/02
  • メディア: 単行本



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