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俺たちは子供の頃から「なろう」を読んで来たのではないか?その1 [シリーズ]

近年、ネットでよく見かけるようになって、しかも意味がよくわからない言葉の一つに「なろう」がある。昔からよく聞くがよくわからない単語、「あすなろ」に似ていて、ちょっと「うっ」となる。

どうやら小説投稿サイト「小説家になろう」から来ているらしい。ネットで使われる「なろう」には「レベルが低い」という蔑みのニュアンスが含まれているらしい。よくまとめサイトなどでその極端な例を見ていたが、小説というより、よく言えば台本。悪くいえば漫画原作者のネームみたいだ。

言い回しに凝る、というのが文芸の本質の一つにあると思う。
表現したいものと全く別のものを使って、それと同じもののように見せかける技術。漫画も同じだ。トーンを使って、モノクロなのに読者はそれを青いと錯覚する。

素晴らしい技術なのだが、度が過ぎれば何が書いてあるのかわからなくなって行く。ゴーマニズムで、わかりやすいように書かないのは何故かと考える回があった。それは半分は演出であり、半分は作者の見栄だと俺は思う。ゴーマニズムを批判した文筆家が「みんなの思い込み通りに描いた」という意味を伝えるために「俗情との結託」という言葉を使った。まあ、終始こんな言葉を駆使しまくっていれば、そりゃあ活字の本の読み手も減るわけである。
なろう俗情.png

流行歌でやたらと英語を使いたがるのも、そういう理由からだと思う。理解できない高級な言葉をさらっと使ってるから人間としてステージが高いように錯覚する。最近は日本語よりも英語の量が多いような歌もあるような気がする。音楽はノリが大事なのでまだファンも離れないような気がするが、極端にこればっかりになれば。。。どうだろうか。

GS美神では文豪の幽霊が若手の人気作家に「お前は『美形』を表現するのに『スマップのイナガキ似』という言葉を使うのか!?」と罵るシーンがあるのだが、「漢字ともったいぶった言い回しが多ければ説得力があるっていうの!?漢字は少なく!!改行はこまめに!!出ないと読者がついてこないのよっ!!あんたたちが芸術部って文学マニア向けの作品ばっかり書いてきたせいで、日本の小説は若い世代に読まれなくなってるのよ!!」と来て、最後は売上の実績で持って論破している。
なろう三上.jpg

昔、ケータイ小説が流行った時に男は女を散々バカにしたが、結局性別は関係なかったということである。それにしても若者の活字離れとよく嘆かれるが、結局はソフト次第ということだ。時代に合ったものがあれば、別に若者は男女問わず、活字を読むのを厭わないということだ。小説家になろうは国内22番目のアクセス数だと最近ニュースになった。

 
なろう小説は頭の悪そうな内容とよく蔑まれている。まとめサイトで論われたものしか見てないのでそんな気もするのだが、我々は頭の悪そうなものを結構喜んで受け入れてこなかっただろうか。キン肉マンとか、マジンガーZが科学的だっただろうか。こういうものは、やがて「様式美」として認知されたからこそ、現在成人した男性が好んでも、まあ昔よりは理解されるようになった。「なろう」もそうなるのかもしれない。

 
マニアがジャンルを潰すとはよく言われる。
まんが道でも、トキワ荘の住人がもっとも好んだ雑誌から潰れた。それはジャンルを成立させる約束事にこだわるあまり、ニーズを置いてけぼりにするからそうなるのではないかと思う。トキワ荘のテラさんは良心の人だったが、漫画というジャンルが大繁栄を迎えるはるか手前でルールに縛られ消えていった。スマホの紙芝居のような課金ゲーが、手間暇かけてこしらえた据え置き機のゲームより遥かに売れているのも、そういうことなんではなかろうか。

 
鈴木みそが「なろう小説」を体験する漫画を描いている。依頼者がかつて担当だった金ちゃんだったようだ。懐かしい。
なろう味噌.png


↓最近、ちょこっとだけ触れて見た、そういうジャンルの本。

百錬の覇王と聖約の戦乙女1巻 (ホビージャパンコミックス)

百錬の覇王と聖約の戦乙女1巻 (ホビージャパンコミックス)

  • 出版社/メーカー: ホビージャパン
  • 発売日: 2015/10/27
  • メディア: Kindle版



理想のヒモ生活(1) (角川コミックス・エース)

理想のヒモ生活(1) (角川コミックス・エース)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
  • 発売日: 2017/07/26
  • メディア: Kindle版



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