SSブログ

醜聞を飯の種に食いつなぐ作家の作品の中に、緊急に保護すべき一冊!武富健治「狐筋の一族」 [名作紹介]

「鈴木先生」という漫画をご存知だろうか。
週刊アクションに連載された教師漫画で、一時期は俺の中でナンバーワンヒットを記録していた。

内容と言えば討論漫画ともいうべき内容で、とにかく悩み、議論することで解決を図ろうとする印象だ。でもまあ、そんなに話し合いが出来る人ばかりじゃないし、浪花節や道徳や合理性やロジックよりも、感情や結果論が大事というのがリアリティーだと思う。レスバトルする漫画は、そこを見失いがちだ。

やがて「鈴木先生」は俺の中でノイローゼ漫画と名付けられ、飽きられてしまい、作者の他の漫画も読むことがなくなった。それとは逆に世間の評価はそこから盛り上がり、ドラマ化され、結構な評判を呼んでいた。

 
あるまとめサイトで「おっとい嫁じょ」(略しておっとい)という因習に関する漫画が貼られており、それを読んで強く印象付けられた。描いていたのは鈴木先生の武富健治だった。漫画は「狐筋の一族」という単行本に収録されている一編で、コンビニで売られるカストリ雑誌で連載していたのだという。
狐憑き1.png
「おっとい」とは、他に嫁がせないように集団レイプして傷物にするというとんでもない求婚スタイルで、半世紀ぐらい前まで日本の一部地域に存在していたという風習だそうだ。ちなみに作者の母親の地元の話で、方言の監修を彼女がやっているという。

他にも印象的な短編がいくつか収録されている。やたら気持ち悪さを煽るようなスプラッターな怪談話は辟易するが、「実在したレイプ村」のような、どこか感覚のおかしくなった人間の話は興味深い。
狐憑き2.png

あと霊が見えると言い出した姉を有名な霊能力者のところに連れて行き、言われたことの裏を取ったら全くのデタラメで、結局姉は医者から統合失調症と診断され、やがて病状が悪化して引きこもって暮らす話が心底怖い。
狐憑き3.png

狐憑き4.png

怖いと言えば、著者近影がめちゃくちゃ怖い。
狐憑き5.png
もっと鈴木先生のような繊細な作者をイメージしていたのだが。
これでは見たまんまの、カストリ雑誌で醜聞を飯の種にして食いつなぐ作家である。

漫画の格というものがあったとして、この「狐筋〜」の漫画は低い。
偏見だが、読んだらすぐゴミ箱にポイか、あるいは電車の網棚に忘れて置いていくような層を対象に描かれている。作者も単行本化は想定していなかったと語っている。奇跡の一冊なのだが、今後もあまり世に出回りはしないだろう。物好きは今すぐに、絶対に購入するべきだ。

 

狐筋の一族 武富健治実話作品集 (ミリオンコミックス)

狐筋の一族 武富健治実話作品集 (ミリオンコミックス)

  • 作者: 武富 健治
  • 出版社/メーカー: ミリオン出版
  • 発売日: 2012/12/15
  • メディア: コミック


[まとめ買い] 鈴木先生

[まとめ買い] 鈴木先生

  • 出版社/メーカー:
  • メディア: Kindle版



nice!(3)  コメント(2) 
共通テーマ:コミック

nice! 3

コメント 2

通りすがり

あまりに物言いが失礼すぎる。
ブログ主は書き手に対する敬意ゼロ。
何様なんだろう。
by 通りすがり (2018-09-15 10:47) 

1up

読解力のない人を相手にしてもしょうがないけども、
アンチもねじ伏せるこの筆力!っていう風に読むんですよ。
by 1up (2018-09-19 21:14) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。