下書き掲載に度重なる休筆、それでも支持される冨樫義博とはなんなのか。 [この人気漫画が面白くない]
幽遊白書の終盤で引っかかっているシーンがある。
「妖怪は滅多に悪さをしない。悪さをするのは操られた妖怪。」とか言い出したところ。漫画の設定を根幹から揺るがす、ちゃぶ台ひっくり返しである。でも作品をどう読み返しても、そういう風には読めない。そりゃそうだ。そんなことを微塵も考えて描いてないんだから。
なんでこんなこと言い出したんだ?
発言の真のニュアンスは何かと考えると、「悪いのは全て人間」「他の生き物は心が綺麗」ってことが言いたいんだなと思った。で、こういうところに「キャーッ」という黄色い声が聞こえてくるのである。中二病だ。
幽遊白書は好きな漫画ではなかった。
極端に悪く言えば、作家性を諦めた漫画家のパクリ漫画だ。だが最後の作者が壊れていく様は非常に惹かれた。壊れていく作家がやるからこそ、パクリもドラマの一部に感じた。そういう人は多かったと思う。アンケート至上主義の犠牲者として冨樫は今後、世捨て人のような漫画家になるとみんな思った。それが「ハンターハンター」で、コッテコテの少年漫画を始めたものだから、皆ズッコケた。あの壊れていく様こそが冨樫の作家性だと思っていたが、そうではなかった。結局のところ、幽遊白書の終了騒動とは、耳障りの良いだけの拗ねた中二病の青年の主張だったのだと思う。
しかしただの中二病では無い。
中二病の求めることを理解し調達し供給できる一流の中二病だ。
憧れたが叶わなかった鳥山、荒木、萩原に匹敵するオリジナルの作家性がそこにはあったのだろう。ハンターハンターで度重なる休筆や、下書き状態での掲載など、作家の倫理を覆すことを繰り返しても、あの天下の少年ジャンプで特別待遇をうけ続けられるほどの読者の支持を集めている。
ハンターハンターは1巻で挫折したが、そのうち続きを読んで見たい。
キメラアント編が面白いとかよく聞くが、どんなんなんだろう。
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