SSブログ

うんこちんこの作風は、自然と表現の限界に挑戦するスタイルとなった?小林よしのり「ゴーマニズム宣言」 [名作紹介]

芸術は人を傷つけないと美大で教わった、という話の続き。

小林よしのり氏はもともと一方で好かれ、一方で嫌悪されるタイプの作家だった。特に「おぼっちゃまくん」は子供に好かれ、親にとっては買い与えたくないと思われたことは何かを象徴している。
蒲焼1.png

基本、うんこちんこの作風である。
何か美意識が必要以上に肥大化してしまった層に受け入れにくいのだと思う。だから自然と表現の限界に挑戦するスタイルになったのかもしれない


ゴーマニズム宣言では初期からして差別問題に斬り込んでいる(ちなみに同時期に薬害エイズ問題にもすでに触れている)。部落差別問題を取り上げるために、学生時代の恩人の過去を漫画化してしまった。描かれた人は傷ついただろうけども、自分は社会的に意義があったことだと思う。勉強になった。
蒲焼2.png

天皇家をギャグに使った「蒲焼の日」は雑誌に掲載されずに騒動になった。
皇太子妃がご成婚パレード中に天皇制反対を叫んで手榴弾を投げまくり、「ロイヤル爆弾」として翌日のスポーツ紙一面トップを飾るというネタを描いて、皇族を風刺することが暗黙のタブーのようになってる風潮に一石を投じたのだ。
天皇2.png

この件で小林氏と対談するに至った右翼の大物だという人物の結論がすごい。
すごく印象に残っている。
蒲焼3.png
「まあ、しかし芸術家は神をも越えてしまいますからね。そうでないと芸術は成り立たないのかもしれない」
どうだ右翼の大物にしてこの理解っぷり。どこぞの美大出よりも芸術を理解している。

 
薬害エイズ事件の後は従軍慰安婦問題に取り組み、見事にひっくり返してしまった。元慰安婦や、それを支援していた人は傷ついたろうけども、戦死した日本人の魂や、それを受け継ぐ日本人の誇りはいくばくか救われたことであろうと思う。

 
昔、(のちに対立することになる)宅八郎から「テロでやらなきゃダメだ。」とアドバイスされ、それを否定する一コマがあったが、小林よしのりのやることはある意味テロである。オウムを犯人と決めつけたことがそれを象徴している。浪花節的にいうと、法より情が優先する。もっと正確にいうと、表現者の矜持が我が身に危険をもたらすことを「粋」と感じる人間なのだろう。
蒲焼5.png
(「脱正義論」にて、テロの実行を思案する一コマ)

まさに芸術家だ。
クレイジーだ。
芸術家は誰も傷つけないどころかテロリストなのだ。

 

ゴーマニズム宣言 2nd Season 第1巻

ゴーマニズム宣言 2nd Season 第1巻

  • 作者: 小林 よしのり
  • 出版社/メーカー: 扶桑社
  • 発売日: 2018/12/12
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:コミック

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。