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パクリかオマージュか?20年ぶりに思い出した「最初の感動を奪う」問題。 [心に残る1コマ]

なんかツイッターである揉め事を見て、あることを思い出した。

昔、ファミ通で鈴木みそがアメリカ取材に行って、そのレポ漫画の扉コマにアレックス・ロスの絵をパロディにしたことがあった。そのことについてアメコミのネット掲示板で不快感を表している人がおり、鈴木みそが降臨してコメントするというちょっとした騒ぎになっていた。
最初の感動.png
(左は鈴木みそ「おとなのしくみ」2巻。右はアレックス・ロス「スーパーマン ピース・オン・アース」より)

鈴木みそはアレックス・ロスは知らず、アメリカを象徴するものとして、取材の過程でたまたま取得したイメージをアレンジしたとコメントしていたように記憶している。調べてみたら、もう20年も前の話だった。ネットに20年前があることにちょっとめまいを感じてしまう。歳をとるわけだ。今、巷にはマーベルロゴの衣類を着ている人が溢れているが、20年前に比べたら信じられない現象だ。アメコミそのものはいまだにマイナーだけども。

鈴木みそのコメントは納得できるものだと思う。印象深いのが、それでも不快感を表している人が「アレックス・ロスを絵を見て最初に感動する権利を、鈴木みそが奪っている」とかなんとか書き込みしていたこと。そりゃそういうこともあるかもしれないけども、そんなヤツいるかなあとも思うし、いたとしても1万人に一人ぐらいじゃなかろうかと思うし、言っちゃなんだけどそんなヤツはバカだなあとも思ってしまう。

けどけど、世の中はそんなことばっかりじゃないか。
自分だって誰かれの功績を知らず、それをかっさらった人に感動しているかもしれない。
漫画に限らず、世の中の全てのものは思索の蓄積で形作られているのだから。

大ブームを起こしたNHKのドキュメンタリー番組「プロジェクトX」に関わった人に聞いたことがあるのだが、あーいうのは番組放送後も事実関係で揉めるのだそうだ。見ていた人はそんなことを知らず、TVに映った人をオリジナルを作った人と認識している。

昔、黒澤明の映画の解説で、あれこれのシーンはこんな洋画と全く一緒でとか全く知らないし見ることも困難なタイトルを挙げられていてびっくりしたことがある。ほとんどの人はそれを知らずに映画天皇黒澤明が突然誕生したと思いがちだ。当時を知らないし、本当にマイナーなものは残りようがないからだ。手塚治虫が出現した時代、漫画家なんて田河水泡とか長谷川町子以外いたの?という感覚もある。いや、それ以外にもうじゃうじゃ漫画家はいて、多かれ少なかれ影響を与えあっていたはずだ。人々はそれを忘れがちだ。

蛇蔵の「決してマネしないでください」で、発明を水があふれた瞬間のことと例えているが、これなんかも味わい深い良い例えだと思う。
決して2.png

むしろオリジナルじゃないもので感動していたと気付いた時の感覚の方が、人生において重要なのではと思う。

 

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