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直された第二話。原哲夫「北斗の拳」は今日より明日!な作品となった [漫画の描き方が書かない漫画の描き方]

ジャンプ黄金期の立役者的漫画は何か?

キャプテン翼、キン肉マン、シティーハンター、ドラゴンボール、聖闘士星矢とキラ星のような名作がひしめく中、元編集長の西村繁男の中では「北斗の拳」だとして語られている。ジワジワと人気になったわけではなく、経絡秘孔などの分かりやすくインパクトあるアイディアから、連載開始から爆発的にヒットになったというのが大きいと思われる。

そんな北斗の拳も、編集部内では最初だけの一発屋では無いかと危惧する面があったという。少年リーダムの劇中にも「連載一回目がトップだったにもかかわらず、10週打ち切りになった作品は山ほどある。」というセリフがある。

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こないだ北斗の拳を数冊電子化する際に読み返したんだけど、やはり北斗の拳といえば最初の宿敵シン!そしてジャギ、トキ、ラオウの北斗四兄弟での戦いだと思う。シンとジャギが登場するまでは結構な間がある。シンのあとは長い低迷期に入っていたような気もする。四兄弟のネタがなかったら、北斗の拳はどんな作品として現在捉えられているのだろうか?興味深い。

 
少年リーダムの中で、すでに完成した第二話の原稿を丸ごと直させるシーンがある。
読み切りの段階で大人気。1話目も好評。
なのに危機感が頭から消えない担当編集者の堀江信彦。
原作者の武論尊にも掛け合わなければいけないのだから相当な労力だ。
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「オレだったら絶対キレてる」と、その直しの第二話を手伝っていた巻来功士は、担当編集者の堀江信彦に不信感を抱き、本格的に独立するため原哲夫のヘルプを辞めたと「連載終了!」の中で回想している。

ところが巻来功士は描き直された第二話を本屋で立ち読みして、断然良くなっていると驚愕する。
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それが「今日より明日」の種もみじいさんが出てくる北斗の拳第二話なのだった。
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巻来功士は「連載終了!」のモノローグで語る。
「…それは漫画に独りよがりではない客観性を持たせる大切な行為の進化系であり すぐれた漫画家とすぐれた編集者が二人三脚になれば傑作が生まれるという実例であった。」

この後、「それでもなおその時の若い私は一人がいいと思っていた」とモノローグは続く。この辺がこの「連載終了!」のキモなのだが、傑作だから実際に読んでいただきたい。

ちなみに堀江信彦は島本和彦の「アオイホノオ」にも登場する。
実名ではないのでおそらくなのだが、北斗の拳のようなレザースーツを着ているので間違いない。
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島本和彦の才能を見抜き、ちょくちょくアドバイスの電話をかけてくるようになるが、のちに言う島本テイストであるギャグ要素が受け入れられず、車田正美のようなもっとベタな漫画を描けと勧めたことがキッカケで疎遠になってしまうという話になっている。

 

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