誰も描かなかったスト２、神崎将臣の「ストリートファイターII RYU蜃気楼編」 [名作紹介]
- 作者: 山本直人
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2011/07/14
- メディア: 単行本（ソフトカバー）
名著「超実録裏話 ファミマガ 創刊26年目に明かされる制作秘話集
」を自炊して読んでいた。ゲーム雑誌創世記の盟主的存在だったファミマガの制作現場を振り返る本で、大層面白いので、自炊作業が終わったらまたここで紹介しようと思う。読み返していて目を引くのは、「スト２」のコミカライズの単行本「ストリートファイターII RYU
」が５０万部も売れていたという事実。大ヒットじゃないですか。
作画の神崎氏がギリギリまで入稿を遅らせて春麗の乳首を紙面に出すことに成功したという裏話も紹介されているのだが、初発の単行本では「！！」マークで隠してしまったともある。すでに自炊済みの単行本見たら、やはり隠れていた。まあ、どうでもいいのだけど。この漫画は乳よりも尻であると思っているので。自分の中では中原れいの「機動戦士ガンダムF90
」に次ぐヒットだ。
ところで自分はこの漫画、単行本は初版で買っているのだが、正直あまり好きではなかった。スト２のコミカライズとしては初期も初期なので、キャラの設定が確立されておらず、神崎氏による解釈が自分とは違っていたというのが主な理由だが。
しかし単行本３巻の蜃気楼編は好きだった。２巻でベガとの最終決戦に勝利し、漫画としては一旦完結したのだが、原作ゲームのマイナーチェンジ版「ダッシュ」が出たので、続編として書かれたパートだ。
（海原雄山的いらない和解。乳首出すのも正々堂々ですか。）
ヒロインたちの前に前回の悪役軍団が現れ、再び襲いかかってくるのだが、その中には主人公も混ざっていた。そのピンチを救ったのは悪役軍団のそっくりさんたちだった？というのがお話の掴み。そしてヒロインたちのそっくりさん、主人公のそっくりさんが登場。誰が本物で、誰が偽物なのか？訳も分からぬまま登場人物達は戦いの渦に巻き込まれていく。結局真相は明かされぬままなのだが、自分自身と戦ってみたいという格闘家の願望を叶えることができたと、皆満足して戦いは終わる。この漫画は「ダッシュ」のウリであった、同キャラ対戦を表現しているのである。
（ベガの衣装は私設警察の制服という解釈説明コマ）
漫画が実写映画化する時など、表現手段が変わるので原作全くそのままというのは不可能である。ゲームの場合はなおさらである。スト２もいろんな作家が、オリジナルを尊重したために生じる不都合を解消するため、いろんなアレンジを試みている。だがしかし、同キャラ対戦という不条理のリアリティを出すことに挑戦した作家がいただろうか。そういう意味でこの漫画は稀有な作品であると思うのだ。
（RYO？）
ストリートファイター2RYO 3 (トクマインターメディアコミックス)
- 作者: 神崎 将臣
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 1994/12
- メディア: コミック
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