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長篠の戦いの謎を垣間見る「炎の信長戦国外伝」 [歴史漫画]

三谷幸喜脚本の今年の大河ドラマ「真田丸」のおかげで武田勝頼再評価が活発になっているようだ。以前、横山光輝の「武田勝頼」を紹介したが、今回は島本和彦の「炎の信長戦国外伝」に出てくる武田勝頼を紹介したい。
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炎の信長は、もともと小学館の「小学六年生」という児童誌に「炎のニンジャマンー戦国外伝」というタイトルで連載されていたらしい。「炎のニンジャマン」とは確か島本和彦の最後の週刊少年漫画。脂の乗り切っていた時期の作品である。ニンジャマンは部活でニンジャをやっている主人公がインターハイ優勝を目指す話。この外伝はそれとは全く関係ない話としつつも、衣装や主人公のデザインなど一部を踏襲している。
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外伝は、タイムスリップして信長を殺し歴史を変えようとする敵忍者の陰謀を阻みつつ、歴史の勉強ができるという体裁になっている。その中で敵忍者が武田勝頼と入れ替わり、長篠の戦いの惨敗を防ごうとする話がある。

有名な「長篠の戦い」は謎が多い。
新兵器「鉄砲」vs旧兵器「騎馬武者」。新しいものが古いものを打ち破るという構図で語られることが多い。その見方が簡潔になりやすいだけ、敗軍の将である武田勝頼の印象は暗愚ということになってしまう。悪いことに父は超有名人。勝頼はいわば二世タレント。鉄砲も知らずに刀で挑みかかるバカ、みたいに思っている人もいるかもしれない。

鉄砲三千挺の真偽は置いておいて、当時として異例の数を集めているのは間違いない。その情報が武田側に伝わってないというのは明らかにリアリティが無い。しかも信長側は屋外で柵を立てて待っているわけである。戦うタイミングは敵次第。雨が降った時に襲われればひとたまりも無い。穴だらけの作戦である。それなのに武田は戦いを仕掛け、大敗した。これはもう「バカだから」で片付けたくなる気持ちも分からなくも無い。
信長島本3.png

炎の信長では、勝頼に化けた敵忍者が信長の作戦を暴いているが、これぐらいのことは当時の武田軍も理解していただろう。ある意味、史実通りである。それなのに強引に戦いを仕掛けたのは、重臣達が勝頼を嫌っていたからというオチにしている。今読んでみると再評価というほどではないが、勝頼の辛い立場をきちんと表現できているということで、当時としては良い史観を持っているなという印象がある。
信長島本4.png

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