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バクマンで紹介された条件は達成不可能だった?梶原一騎/川崎のぼるの「男の条件」 [名作紹介]

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前回紹介した梶原一騎原作/川崎のぼる作画の「男の条件」を久しぶりに読み返した。
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修羅場の売れっ子漫画家の仕事場に突然訪問してきた青年が主人公。押しかけてきたファンかと思いきや、ファンなのは工場で働く主人公の同僚だった。熱心な読者の様子に感激した漫画家はサイン色紙の1枚でも送ろうと申し出るが、主人公の意図はそうではなかった。漫画に描かれた工場の機械の考証が、現場を知る人間にとってはリアリティに欠けていた事に同僚が少し失望したことから、信義に厚い主人公は実際に先生に工場に来て見学してもらおうとやってきたのだった。
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なんともひねりの効いたイントロダクションだ。
主人公の友情や正義感、行動力を描きつつ、漫画の本質を説明。さらに大人の事情もフォローしている。パーティーの出席のために主人公の誘いを断らざるを得なかった売れっ子先生は、この後に飲み屋でヤクザに絡まれる。追いかけてきた主人公が流血しながらもヤクザを撃退。貧血で意識を失いかけそうになった主人公は、漫画家を工場に連れて行くのは無理と悟り、自らの血で絵を描いて説明する。その絵のクオリティに「雪舟か」と驚く漫画家。ここで読者は主人公がこの先、漫画家としての道を歩みだすのだなと悟るのだ。
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自ら工場の機械を作画することになった主人公は、漫画家の職場にヘルプにやってきた男谷草介(おたにそうすけ)と出会う。彼は商業主義と相性が悪い、こだわりの強い売れない漫画家だった。その強い信念に男を見た主人公は、男谷に弟子入りする。彼が語る男の条件に「自分は出来ているのか?」というツッコミが入るが、うろたえつつも「やっとらん!」と言い切るのが良い。キャラクターの心理にジレンマを持たせることで、深みを感じさせる。
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問題は、漫画が「やっとらん」ままで短く終わってしまうことだ。


男の条件 (復刻版コミックス)

男の条件 (復刻版コミックス)

  • 作者: 川崎 のぼる
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2013/09/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)





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