SSブログ

批評はどうあるべきか?28年前の記事が刺さる。「怒りのロードショー」から「君の名は。」まで思ったこと [心に残る1コマ]

前回紹介した怒りのロードショー。通巻表記が無いが、2巻は出ないのだろうか?単行本用に書き下ろしされた漫画は作品のテーマである「ファンはどうあるべきか」を描いていて、最終回っぽくもある。

読者からツッコミを受けたのだろうか。
何様だという感じで映画をぶった切る「悪役」の村山が、主人公たちに「お前らもタイタニック観てた女生徒をバカにしてたろ。俺たちは同類なんだよ」と問いかけ、主人公たちは言葉に詰まる。自分が男だからかあまり意識していなかったが、女性読者だったらこの漫画は冒頭からいきなり感情移入できないのかもしれない。
怒りの2.png

ちょっと検証してみよう。

「感情移入側」にいる主人公たち。
主にB級映画を好む。より大衆的な映画が好きな方が読者は共感しやすい。同じように映画をぶった切っていても主人公たちに共感を持つのはそういう単純な理由からなのかもしれない。利口よりもバカっぽい方が共感が持ちやすいというのもある。ドラゴンボールの孫悟空。スラムダンクの桜木花道。伊賀カバ丸。いつもバカだわ素直じゃ無いの。バカ負けというのか、何を言われてもあまり腹が立たない。
怒りの3.png

「敵役」の村山は「テーマに心動かされるのが映画」という定義をしている。やたら「偽善」を嫌う。いわゆる「高尚」な映画を好む。何がムカつくと言えば、「あの名作映画を作ったのは自分」ぐらいの勘違いをしているところであろう。実際には自身がゴミ以下と評価した映画と同レベルの映画を作れるかどうかも怪しいのに。
怒りの4.png

ところで最近「君の名は。」の批評合戦が盛り上がってる。
史上空前のヒットとなったアニメ映画だが、村山的な映画ファンからは酷評もされている。代表的なのは井筒監督だ。こういう人たちから飛び出すのが「映画はダメになった論」である。だが、そんな井筒監督の作った作品を愛してやまない人がどの程度いるのだろうか?それが現実である。そういう人たちが「自分の映画観がダメになった」「世間がダメになった」どちらを選ぶのかという話だ。
怒りの1.png
ちょうど自炊した1989年のパソコン雑誌をチェックしていたら、お便りコーナーに編集者がこんなことを書いているのを見つけた。実にタイムリーだ。
怒りの5.png
「自分では何もせずに、批判ばかりする者は、自分には何もできないことを知っているために、批判のための情報武装によって自己防衛をしているのだ。そういう人種は、昔は多かった。オタクの先祖だな。しかし、今はもう流行らない。考えてみれば、かわいそうな人たちなのだ。」

28年後の今でも刺さる言葉である。
考えてみれば芸術なんかもその繰り返しである。ヒット作品が分析され、それがヒットの要因と固定化される。その常識を打ち破ったものが異端邪道と非難されつつ、新しい時代を作っていく。脳みそが硬化した者はやがて老衰で死んでいなくなり、新しい聖典が生まれる。しかしそれもやがて新しい異端邪道によって衰退の道を辿る。
手塚3.png

子供の頃、あんなに楽しく読んでいたコロコロもジャンプも、仮面ライダーもスーパー戦隊もやがて卒業する。飽きるのだ。映画も熱中して見始めた頃が一番楽しいに決まってる。批評家に好きな映画はと聞いたら、必ず青春時代にみた映画をあげるはずだ。「最近見たアレが一番好き!」なんて評論家はいない。「映画がダメになった」と言い出す人。もう卒業すべき時期が来ているのだ。老けた学生は老害呼ばわりされるのが嫌なら卒業すべきなのだ。
怒りのロードショー<怒りのロードショー>

怒りのロードショー<怒りのロードショー>

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA / エンターブレイン
  • 発売日: 2017/01/30
  • メディア: Kindle版


「28日後...×28週後...」感染ダブルパック [DVD]

「28日後...×28週後...」感染ダブルパック [DVD]

  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • メディア: DVD



nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:コミック

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。