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北斗の拳より編集長が評価したジャンプ10週打ち切り漫画、巻来功士「機械戦士ギルファー」 [心に残る1コマ]

三度に渡って文句ばっかり書いてきた非常にコスパの良い漫画、「少年リーダム」ですが、今回はちょっといい話を。

最終4巻で、主人公の新米編集者が一発当てるためにベテランでも敬遠する高難度の案件、「機航旅団ボイジャー」のコミカライズに挑戦する話がある。連載にこぎつけたものの、結局10週打ち切りで失敗するのだが、編集長にはよくやったと褒められる。

この話は巻来功士(まきこうじ)の『機械戦士ギルファー』が元ネタで、著者の自伝「連載終了!少年ジャンプ黄金期の舞台裏」でも経緯が漫画で読める。
ギルファー3.png

原作大賞を獲ったものの、漫画向きではない内容に誰もが二の足を踏んでいたところ、「北斗の拳」の担当編集者として知られる堀江信彦が巻来功士に勧めるという内容。

ちなみに、少年リーダムの中で漫画化を執拗に催促し、日本刀を振り回して編集者を脅迫する原作賞審査委員長が出てくるのだが、モデルはおそらく梶原一騎
ギルファー2.png
(画像は「少年リーダム」。「え…」と戸惑う西村編集長の顔にジワジワくる)

「連載終了!」の巻末に巻来と堀江の対談があるのだが、その中でもこの話に触れている。

ーーーーーーーーーーーーーーー
堀江『(機械戦士)ギルファー』の漫画化を提案したじゃん。梶原賞受賞の(作中では「漫画原作大賞)。実はあれ、誰も漫画にできなかったんだよ。

巻来 あー、初めて聞きました。

堀江 うん。でもやっぱり受賞作品じゃない?なんとか形にして連載にしなきゃいけない。それで僕が巻来君に提案したわけよ。そしたら形にしてくれた。

 正直いうとね、当時の編集長、西村(繁男)さんだけど、西村さんが僕に言ったのは「堀江は『シティーハンター』とか『北斗の拳』とか色々やったけど、実は僕は『ギルファー』を漫画にしたことを評価してるって。…まぁ10回で終わっちゃったけど。
ーーーーーーーーーーーーーーー
 
先に「連載終了!」を読んだときは、著者の顔を立ててこんなこと言ってるのかなぐらいに思って読んでましたけど、全4巻の少年リーダムの中でわざわざエピソードとして採用しているのだから、結構ガチっぽい。良い話だと思いませんか。
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このシーンはあだちつよしの「怪奇まんが道」における西村繁男の登場シーン、諸星大二郎の「暗黒神話」を絶賛するエピソードともかぶる。
怪奇漫画編集2.png
ジャンプを600万部にした男の編集方針は、決して売れさえすればいいというものではなかったのだ。

ちなみにこの話を2016年の「連載終了」巻末対談で初めて知ったという巻来功士氏は、2010年のコミックバンチで少年リーダムと一緒に『ミキストリII -太陽の死神-』を連載中だった。。。

 

少年リーダム~友情・努力・勝利の詩 4 (BUNCH COMICS)

少年リーダム~友情・努力・勝利の詩 4 (BUNCH COMICS)

  • 作者: 次原 隆二
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2010/04/09
  • メディア: コミック



連載終了!  少年ジャンプ黄金期の舞台裏

連載終了! 少年ジャンプ黄金期の舞台裏

  • 作者: 巻来功士
  • 出版社/メーカー: イースト・プレス
  • 発売日: 2016/02/07
  • メディア: コミック





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育児雑誌に路線変更するSPA!、ゴー宣で批判されるKAZUYAは右翼なのかネトウヨなのか問題 [心に残る1コマ]

最近、自炊作業しながらひろゆきの動画ばかり聞いています。
坂本龍馬もこういう人だったんじゃないかなあと思う。
誰か一度年末時代劇にキャスティングしてみませんか。
ひろゆき本人は「現代の坂本龍馬になるとか言い出す人はヤバイ!」とか言ってるけど。

dマガジンでSPA!の「ひろゆきの炎上日記」を読もうとしたら、タイトルが「僕が親ならこうするね」になっていたので驚きました。ちなみにdマガジンの目次は「が親ならこうするね」になってました。
かずや4.jpg
「連載が教育関連にリニューアルされる急展開になっていたりします」ということだそうで。かつてはライターが若い女の子にモテモテというイケてる雑誌だったのが、今ではオッサンしか読んでない(by吉田豪)やれる女子大生ランキングがウリの雑誌になってしまった「SPA!」。ここにきて育児雑誌に路線変更するんだそうで、大丈夫か?みうらじゅんにマタニティーヌードをプロデュースしてもらったりするのだろうか。

 
SPA!連載の「ゴーマニズム宣言」を読んでちょっと気になったこと。
今回は右翼ユーチューバーとして人気があるというKAZUYAの批判をしていた。
その際、「KAZUYAのような右翼」という一文がある。
かずや2.png
同じページで「KAZUYAのようなネトウヨ」としていた。
かずや1.png
ちなみに前のページでは「KAZUYAというネトウヨ・ユーチューバー」としている。単なる書き間違いなのか?ネトウヨで右翼ってのは成立するのかというのが素朴な疑問。

ネトウヨという言葉の定義についていろいろ考える。
なんとなく古本屋で「日本の右翼と左翼がわかる本」(宝島社)というのを買ってみたりもする。
奥付を見たら4刷りだったよ!売れてるね!

以前は「ネオナチ」というのがニュアンス的に近いんじゃないかということを書きました。
左寄り3.png
あと、「アマチュア右翼」というのも考えました。右翼というものを立ててるか立ててないのか知らないですけど、ネトウヨはそれに満たない者という捉え方。

だからマスコミがネトウヨという言葉をTVで使っても、右翼的な思想が批判されているわけではないとして、街宣車が抗議に行かないのかなーと思ってました(行ってるのかもしれませんけど)。

町山智浩は、ジョンレノンの「イマジン」を貶めた佐々木俊尚に「あんたはネトウヨ以下だよ」とツイートして話題になりましたけど、右翼→ネトウヨ→ネトウヨ以下というランク付けが左の人の中にあるのかなあと最近考えていました。


結局のところみんな定義がバラバラなんですよね。
わかってはいたんだけど。

本質的なネトウヨの意味は「取るに足らないバカ」で決まりだと思う。今度ニュース番組などでアナウンサーが使う場面があったら、そういう風に聞いてみると面白いと思う。

世間的には小林よしのりだってネトウヨだと思われてるんじゃないかなあ。
オタクがオタクを批判するようなもんでさ。

 
で、その小林よしのりが明治時代の右翼の大物の伝記的漫画を描いたけれども雑誌がなくなって打ち切りになった「大東亜論」の最終巻が無事出版されて喜ばしい。一時は単行本出るのかでないのか、小林氏が不満を吐露していて、そんなに売れてないのかと心配になったのだけれど。

大東亜論は激しすぎる明治の暗黒政治闘争を描いた大長編だ。こんな時代だったら、そりゃあ志々雄真実も武装蜂起するはずだと思わされる。外務大臣の右足を吹っ飛ばしたテロリストを、吹っ飛ばされた外務大臣が讃えるという、とんでもない男塾的なエピソードから始まるこのシリーズ。モブ的なチンピラの描写がすごい迫力があって、そこがさりげなくイイと思う。

 
最終巻は移籍先があるのを信じて未完のままなのか、書き下ろしで無理やり完結させるのか、どっちか気にしてたんですけど、結果まさかの文章であらすじ書いて一応の完結というオチでした。ああー、続きがもう読めないのかと思うと残念だ。

内田良平という人物は「大東亜論」では最後の方にその後の活躍を明示してでてきて終わるんだけど、安彦良和の「王道の狗」にも「天の血脈」にもでてくる。手塚治虫の「一輝まんだら」を最近読んだんだけど、これにも出てきた。
かずや3.png
その出演作がほぼ打ち切りを食らっていて、詳しいことが漫画で読めないのでスッゲー気になる。。。

 


SPA!(スパ!) 2019年 6/4 号 [雑誌]

SPA!(スパ!) 2019年 6/4 号 [雑誌]

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 扶桑社
  • 発売日: 2019/05/28
  • メディア: 雑誌


大東亜論 最終章 朝鮮半島動乱す!: ゴーマニズム宣言SPECIAL

大東亜論 最終章 朝鮮半島動乱す!: ゴーマニズム宣言SPECIAL

  • 作者: 小林 よしのり
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2019/05/28
  • メディア: 単行本


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吉田豪の「SPA!はオッサンしか読まない雑誌」発言に、イケてる若者が読む雑誌と思い込まされていた俺が衝撃を受けた話 [心に残る1コマ]

こないだ雑誌「SPA!」が炎上した。
「ヤレる女子大学生ランキング」という企画が女性蔑視だとして注目されてしまったのである。

これに関して、吉田豪が動画で「オッサンしか読んでない雑誌」と言っていて衝撃を受けた。

そうなのだ。
なんか最近、週刊大衆っぽさをSPA!には感じていた。
そのうち「処女探し」とか「パンツを見せてくれた女の子は誰?」とかの昭和の企画をやりそうだなと思っていた。

よくよく考えてみれば20代の頃から読んでいて、今や逃げも隠れもできない(少し出来る)オッサンに俺もなってしまった。読者だって一緒に歳をとる。渋谷直角が「さよならアメリカ」でオッサンと若い女の恋を描いていて斬新だと思ったが、そりゃあ読者層を考えたら、自然とそういう漫画になって当たり前だ。

とんでもないことに気が付いたのだが、俺はSPA!をイケてる若いヤツが読んでる雑誌と思い続けていた。よくよく考えてみたら、全然そんなことはない。若い奴が読んでるとこなんて見たことないし、話題を振られたことも一切ない。

SPA!がイケてる若いヤツが読む雑誌だなんて、俺はなんでそんな勘違いをしてしまっていたのか。

ちなみにもともと俺はSPA!を熱心に読んでおらず、今ではゴーマニズムと「ひろゆきの炎上日記」しか読まない。昔は恋愛特集記事とか読んでいたが、あまり実用的だとは思えなかった。

 
ある日、俺がSPA!をイケてる雑誌だと20年思い込ませた漫画を発見した。
きたがわ翔の「C」だ。
こないだ買い直したので読み返したのだが。

「C」は数巻ごとにストーリーと作画のタッチを変えるというコンセプトの実験的な漫画。一貫しているのは「コンプレックス」をテーマにしていること。

その最初の話「男性失格」の主人公が雑誌のカリスマ編集者で、そのことをチラつかせば女がホイホイ寄ってくるのである。その雑誌の名前が「UP!」。「SPA!」がモデルになっているのは間違いない!
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「C」の連載が始まったのは1994年なので四半世紀前。
そりゃあSPA!が週刊大衆化してしまっても無理はない。。。

ところで「C」は作画にこだわっているだけあって、今読んでも良い絵だなと思う。「男性失格」はリアルタイムで読んでいて過去作品を脱しきれていないワンパターンな漫画だと思っていたが、読み返すと作画が細かいところまで神経が行き届いていると唸る。

「C」第二編の「マゼンダハーレム」は耽美な世界を描いていて、作品を象徴する傑作短篇だと思う。当時、友人がこの漫画を気に入り、流行っていたゲームの「タクティクスオウガ」のチーム名を「マゼンダハーレム」にしていた。

第三編の「モンロージョーク」はポップなコメデイを目指している。これもお気に入りである。この中の「セッケンの香りがする女の子が好き」というセリフはなんか自己愛に溢れているようで印象的だ。「あせとせっけん」という漫画を紹介するのに引用させてもらった。というかこのために買い直した。

最終章はなぜか野球漫画に挑戦している。これがよくわからない。

 
きたがわ翔は中学生の頃、「ナインティーン」を勧められて読み始めた。「BBフィッシュ」はよくわからなかったがエロかったのが良かった。「C」のあとは「ホットマン」で反町隆史主演でTVドラマ化され大ヒット。ホットマンも面白かったのだが、なぜか途中できたがわ翔が嫌いになってしまい、それ以降の作品は一切読んでいない。

嫌いになってしまった理由がよく思い出せないのだが、それもいつか思い出すのだろうか。

ちなみに俺が読んでいたきたがわ翔の4作品のうち、Cは唯一ウィキペディアに項目がない。
 

SPA!(スパ!) 2019年 5/21 号 [雑誌]

SPA!(スパ!) 2019年 5/21 号 [雑誌]

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 扶桑社
  • 発売日: 2019/05/07
  • メディア: 雑誌



C 全10巻完結 (ヤングジャンプコミックス)  [マーケットプレイス コミックセット]

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  • 作者: きたがわ 翔
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • メディア: コミック


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ジョジョの人気を決定づけたパロディはコレ!萩原一至「バスタード!!」 [心に残る1コマ]

アニメ版ジョジョ第五部、アバッキオが死ぬシーンで泣いた。
「近道しようとして真実を見失うかもしれない」という名台詞。

原作でも屈指の名シーンだと思っていたが、まさか泣くとは思わなかった。
リゾットvsドッピオも第五部のトップバトルだと思っていたのだが、異様に力を入れて作画されていて感動した。

思わず海外の反応を翻訳したページなども読んでしまう。
その中に、ラスボスが真実に辿り着けなくなってしまう伏線になっていると指摘しているものがあって膝を打った。第五部はよくわからん幕切れだったけども、なるほど気づかなかった。

アニメ化にあまり興味がない俺だが、新しいファンを引き入れるには一番有効な宣伝だと思う。特に海外にも伝わり易いのが良い。必ずや10数年後、フォロワー作品が世界中に頻発するのであろう。今以上に。

連載開始の頃は、ジャンプ漫画らしくないからすぐに終わると思っていたジョジョだが、今や不動の地位を築いている。ジャンプ漫画以外でもジョジョパロディは珍しくなくなった。このパロディというのが重要で、ジョジョの面白がり方を端的に翻訳し、地獄のジャンプアンケート至上主義で生き残らせた要因だと思うのだ。

最初にプロがやったのはおそらく新沢基栄の「ハイスクール!奇面組」だというのは以前ブログに書いた。(五部の初パロディのことも書いてる。)だが、ジョジョの良さを端的に、もっとも象徴的に伝えたのは萩原一至の「バスタード!!」ではないかと俺は思う。

「それはァァァ!!吸血鬼のォォォ!!恐れる物ではァァァ!!世界一ィィィィ!!!!」
ヴァンパイア1.png
掲載は「バスタード!!」3巻。もちろんコレはジョジョファンにはお馴染み。死にかけたスピードワゴンを蘇生させたナチス将校のシュトロハイムが放つセリフ、「ドイツの医学薬学は世界一ィィィ」が出典だ。このパロディは当時クラスメイトの間で話題になった。ジョジョの面白がり方がさらに周知され、延命に一役買ったと思う。

ちなみにバスタードは剣と魔法のファンタジー漫画。
ヴァンパイアとの対決に主人公側が十字架とニンニクを使用した際にヴァンパイアが放つのが問題のコマなのだが、結局効果はない。
ヴァンパイア3.png
使用する前の「こーゆー古典的なのは嫌だったんだけど」というセリフが面白い。
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吸血鬼が十字架とニンニクが苦手という設定は当時すでにコントやギャグ漫画の定番となっていたが、今の読者にどれぐらい通用するのだろうか?

バスタードはいろんなパロディが登場するが、その中に江川達也の「まじかるタルるートくん」ネタもある。

コレに江川達也もやり返しているのはホッコリする。
この後、バスタードの単行本おまけ漫画にも江川氏が登場し、仲の良い姿を見せている。
このころの江川達也は漫画に対して真摯だった。

 

BASTARD!! 1-27巻セット (ジャンプコミックス)

BASTARD!! 1-27巻セット (ジャンプコミックス)

  • 作者: 萩原一至
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2012/03/19
  • メディア: コミック



ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風 Vol.7 (25~28話/初回仕様版) [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
  • メディア: Blu-ray



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活字の本はできるのに漫画はなぜ立ち読みできないのか。それは潜在的な差別心、意識の高さが原因だった [心に残る1コマ]

活字の本は立ち読みできるのに、漫画は出来ない。
なぜなのか?

まず売れないものと売れるものという違いがある。
返本5.png
(土田世紀「編集王」5巻より)

漫画は売れるので、読者層が広い。
立ち読みできると、こぎたない子供や、うすぎたない大きいお兄さんが本を汚すので商品が売り物にならなくなる。

活字の本は売れないから立ち読みする人が少なく、読む人の意識が高いので本が汚れない。
だから立ち読みOK。

…とまあ、究極的に言うと、こういう理論だと思われる。
これが「本が汚れるから立ち読み禁止理論」だ。

 
ただ、本屋の本は基本借り物であり、売れなくなるほど汚れた本は取次につっかえせばいいだけのはずだ。
返本4.png
コンビニでバイトしたことがあるが、返本のハードルがとてつもなく低くて驚いた。

鈴木みその「オールナイトライブ」によれば、輸送や陳列の際の破損による返品は最初から見込んでいるという。だから本が売り物にならなくなっても、本屋自体にダメージは無いはずだ。
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1冊2冊と細かく戻ってきますから、それをまとめて積んであります。」
「100%売れる本なんてないんですよ。例えば雑誌の場合、本をしばった時に一番上と下の2冊はヒモが食いこんで売りモノにならない。7割くらいがペイラインですから8割売れればばんばんざい」

だから「本が汚れるから立ち読み禁止理論」は間違いだということになる。
返本することで欠品になって機会損失になることを嫌がっているということなのだろうか。返品に手数料をとる契約になっている場合もあるらしい。

 
続いて「客層が悪くなるから立ち読みを禁止する理論」について考えてみたい。

立ち読みフリーダムなブックオフにいくと、必ず怪しい感じの人に遭遇する。なんかブツブツ言ってたり、体臭がきつかったり。正直、本屋に比べると客層は悪いと思う。

前述したコンビニバイト時代の経験だが、その時に異常に立ち読みを嫌う店員というのも何人か遭遇した。立ち読み禁止は理屈ではなく、性分でやっているという可能性もある。

 
さらに「そもそも立ち読みをさせたところで売り上げに大差が無い理論」がある。

子供の頃、立ち読みOKを謳う本屋が近所にできた。
しかし街の本屋がなくなっていく過程で、自然と淘汰されてしまった。
立ち読みは書店が生き残るほどの強みにならないのかもしれない。
むしろ、傷んだ本の返本作業が増えて煩わしいだけなのかもしれない。

コンビニは窓側に雑誌を並べて立ち読みさせて客引きの効果を狙っていたというのはよく言われていることだが、近年登場した次世代型と言われる店舗はそれを廃してしまった。この次世代型店舗がどれぐらい成果をあげ、今後これが普及していくのかは分からないが、立ち読み客寄せ効果が疑問視されているのは間違いない。

立ち読みはヘビーユーザーを育てる理論があるが、これも疑問なのかもしれない。ヘビーユーザーは絶対数が少なく、マニアが支持したものは必ず潰れるという理論は「まんが道」の時代からある。ライトユーザーを取り込まなければ商売は成功しないのだ。
 
立ち読み不可。
それは商売として正しいのかもしれない。

 
では出版社は、
本屋1件につき、1冊2冊しか入荷しないようなマイナーな単行本をどうやって売るつもりなのか。

マイナーな漫画までシュリンクする意味はあるのだろうか。
売れない漫画は、売れない活字の本とほぼ同義な気がする。

こぎたない子供と、うす汚ない大きいお兄さんが手に取りそうも無い、そもそも誰も興味を持ってないし内容もわからない漫画を、立ち読みなしにどうやって買わせるつもりなのか。

やはりジャケ買いですか。
実際にジャケ買いってどれぐらいの売り上げを見込めるものなんですかね。

 
冒頭の編集王の一コマからふと思ったことがある。
返本5.png
「ヘアヌード写真集とマンガは、書店の救世主」。
つまり、外野という言い方もできるのだ。

こち亀に「気取った本屋は漫画を置かない」というセリフがあった。
実際、東京に行ってそういう本屋に遭遇したことがある。
今もあるのかわからないが。

書店は活字の本を売る、活字の本の良さを啓蒙するための場所で、漫画はついでに売っているだけなのかもしれない。

レジ近くで併売している文房具とか、ポケモンのトレーディングカードとかと一緒。だから活字の本は立ち読みできて、漫画はできない。客層が悪くなるから禁止理論もこれに当てはまってしまう。

そう思っている書店員は今時少ないだろうけども、
本屋という商売のフォーマットに黎明期からそういう意識が潜在的に組み込まれているのではなかろうかと思う。結構当たってるのではないかなあ。

かつて活字の本を売ってでた利益で、漫画が作られている時代があったそうだ。
編集王13巻には、そういう文脈で蔑まれる描写がある。
それが今は逆である。
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だがしかし、書店はいまだにそういう意識でいるのかもしれないということだ。

 
立ち読み2.png
 

マスターピース・オブ・オールナイトライブ コミック 1-4巻セット (BEAM COMIX)

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  • 作者: 鈴木 みそ
  • 出版社/メーカー: エンターブレイン
  • 発売日: 2009/03/25
  • メディア: コミック


[まとめ買い] 編集王(ビッグコミックス)

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  • 出版社/メーカー:
  • メディア: Kindle版


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表紙に惹かれて手に取ってみたが、中身がわからないので後で検索しようと思って書棚に戻してそのまま忘れてしまう話 [心に残る1コマ]

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本屋は導線がなっとらん!
以前、売れっ子編集者の佐渡島氏が、本屋の導線を見直したいとか語っていたが、もっと単純なことのような気がする。死ぬほど言われてることかもしれないが、とりあえず書く。
佐渡島3.png
こないだ本屋に行って新刊のコーナーを見ていたら、一冊だけカバーのかかってない本があった。手塚プロにいた人が垣間見た、手塚治虫の素のリアクションの数々を描いた「手塚治虫アシスタントの食卓」という漫画。パラパラめくってみたら面白かった。すでに立ち読みされた形跡(注文カード)があったが購入してしまった。

他にも表紙から気になる本は何冊かあったけど、買ったのは中身が読めたこの一冊だけ。立ち読みできて品質を確認できたのが大きな購入動機になった。表紙から興味を惹かれたが購入に至らなかった本は?毎度「後で検索しよう」で、そのまま忘れてしまい、別に後悔もしない。

 
表紙に惹かれる →購入!…そんなやつは少ないだろ。。。

中身を確かめる →ネットで?面倒。時間がかかる

購入!

こんな単純な導線すら書店はできていないのだ。
一方アマゾンにはサンプルページからそのまま購入画面に行くという導線ができている。というか普通商売を考えたらそうして当たり前だ。

漫画村という違法ダウンロードサイトが流行ったときに、「タダで漫画を読むのは外食して金を払わないのと一緒」とツイートして物議を醸した漫画家がいた。もちろん漫画村を擁護するわけではないが、俺が子供の頃は立ち読みできて当たり前だった。タダだったのだ子供の頃は、時に座り込み読みふけった。何千冊もある漫画が全て蔵書だったようなものだった。最近この話を若い人にしたら驚かれた。それがある時期からシュリンクするのが一般的になった。物議を醸した漫画家も、そういう昔を知らない世代だったのだろう。
ボアズ3.png
(シュリンクが一般的になった1994年ごろの漫画)

そういう死ぬほど漫画を読んだ立ち読み世代が漫画業界の隆盛を支えたような気がする。いつしか漫画は雑誌で立ち読みした(買えよ)情報をもとに単行本を買わせるスタイルとなった。今は雑誌立ち読み禁止のところも多い。先細りになって当然だ。有名な作品はいいが、マイナーな作品はジャケ買いさせるほどの動機を与えられなければ誰も手に取るはずがない。口コミとか宣伝だけが頼りだ。

すでにやってるのかもしれないが、QRコードを掲示して、サンプルページに飛ばすような仕組みぐらい作って当然だと思うのだが。。。そもそも不思議なんだけど、なぜ表紙だけで買わせられると思うのか。せめてカバーに「こんな漫画です」という感じで内容を紹介させるべきというのはQRコード登場以前から、ずっと思っていた。


出版社の数少ない営業努力として見られるものの中に、試し読みの小冊子というやつがある。
現在これですごく購入を迷う出来事があったので次回はそのことについて書く。
文句なのか愚痴なのか、だだ単に俺が優柔不断なのか。

続く。
手塚治虫アシスタントの食卓

手塚治虫アシスタントの食卓

  • 作者: 堀田あきお&かよ
  • 出版社/メーカー: ぶんか社
  • 発売日: 2019/04/10
  • メディア: 単行本



手塚治虫アシスタントの食卓 (ぶんか社グルメコミックス)

手塚治虫アシスタントの食卓 (ぶんか社グルメコミックス)

  • 出版社/メーカー: ぶんか社
  • 発売日: 2019/04/10
  • メディア: Kindle版


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まるで質量保存の法則だ?無くなった差別はどこに行くのか問題 [心に残る1コマ]

部落差別を知るキッカケになったゴーマニズム宣言差別論スペシャルに印象的なオチがある。
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「人の差別心が完全になくなることはないって先生ぴゃん言うよね。」
「うむ、多分な。」
「今の少数者が闘って勝ちに回ったら、だれが差別されるんだろう?」
「うーむ…、ハゲを差別しろ!!」

このあと更に続くのだが、そこは実際に読んでもらうとして、素晴らしいブラックジョークである。己を差別心のある等身大の人間であるとすることによって、語ってきた差別反対の話を単純な理想論にしすぎない効果、読者に自戒させる効果をもたらしている。

しかしこのオチを、取材に協力した人権団体が問題とした。協議の結果、ページを縮小して人権団体の見解も載せるという折衷案に落ち着いたが、作者の小林氏は大いに不満を募らせている。引用した画像が荒いのは、そんな理由による。

ところでこの「差別は無くならない。ひとつの差別がなくなったら、次はどこかに差別が行く。」という問題。最近、そのどこに行くのかというのが掴めた気がする出来事があった。

 
ツイッターで炎上しているっぽい漫画があって、試しに読んでみた。全4ページ。外国の学校に通う子供の文化トラブルを日本人の母が描いている。母親の心配をよそに、先生が異文化に理解を示していることから良い話で終わるのだが、最後のページで炎上してる謎が解けた。ちょっと左寄りのニュアンスがあったのである。怖いので引用はしない。

以前、「俺は創価学会に入って変わったよ!」のオチの一言で、「なかなか読ませる漫画だけど何の漫画なんだ?」と思っていたのがガラガラと崩れる体験をしたことがあったけれども、それと通じるものがあった。

創価学会の漫画はなかなか素晴らしい叙述トリックだと思ったのだけれども、ツイッターの漫画は問題のページがなくても成立するし、ちょっと勿体無いと思ったので、ちょっとその辺を本人に突っ込んでみた。すると段々と発言が攻撃的になり、その辺のニュアンスはその漫画を描く上で本人にとっては必須だったということがわかった。

俺はその漫画を「世界のみんなが仲良く」っていうオチになると思って読んでいたのだけど、作者が一番伝えたいことはヘイトスピーチ反対ということだった。俺はこの「ヘイトスピーチ」という言葉は都合良く乱用されているので嫌いなのである。大人が醜い罵り合いをする時に使う言葉だというイメージがある。何しろヘイトスピーチ反対と言いながら、それに悪口を付け加えるのだから。

漫画の作者も「ヘイトスピーチをする人は常識がない」と矛盾するオーディエンスに同意のリプライを送っている。「私は差別と黒人が嫌いだ」みたいな話だ。このオーディエンスのリプライは引っ掛けだったのかもしれないが本人は気づいていない。悪人の自白というやつだ。

この人に外国人差別はないかもしれない。
本人も自分は差別心がない人間だと思っているし、世間一般も多分そう捉えるだろう。
しかし差別は無くならないし、差別心のない人間などあり得ないという理論に照らし合わせるとどうなるのか。消えるはずのない差別心はどこに行ったのか?

差別は自分と考え方の違う人へしっかり向けられていることがわかる。やはり差別心は無くならないのだ。この構造に気づいたとき、ちょっと感動した。質量保存の法則みたいだ?

まあ、差別問題と戦う人は激しさがあってもいいかもしらん。
だが、自分の差別心が見えにくくなっているせいで、行き過ぎになることもあるだろう。ママ友の間では浮いてる人になっていてもおかしくない。漫画に出てきた学校の先生が異文化を認めなかったらこの人はどうしていたのだろうという疑問もある。異文化に理解を示したのも、その辺が影響しているという読み方もできてしまう。だから問題の4P目はつくづく蛇足だと思うのだ。

4P目を眺めながら、最小限どこを削れば成立するかなということも考えた。
「外国人は出て行けー」は誰もが差別発言だと思うから良いとして、「移民受け入れ反対(要約)」は削った方がいいと思う。溺れてる人は助けるべきだが、どこで船が沈むかは当然見極めなければならない。必ず議論があるべきだが、これをヘイトスピーチとするのは反対意見を封殺したいだけの典型的な言葉の乱用。自らスローガンの価値を貶めている。

冒頭で引用した、長年愛読しているゴーマニズム宣言だが、スタッフの一人が安倍総理をゲリピーと連呼して大いに失望したことがある。その上、それを非難されると「釣りもわからんのか!」とまんまブーメランになるような言い逃れ。コミュ障っぽい時浦だからしょうがないなとも思うが心底軽蔑した。身近にいる人がこの程度の意識なのかと。その時浦が結婚していたことを最近知って驚いた(話が逸れた)。

何が言いたいのかというと、何かしら批判するならちゃんと理論的にやらないと、批判する側が安くみられて、その批判も容易に聞きれてもらえなくなるということである。サッカーの試合結果や、芸能人の逮捕や改元が政権批判に強引にこじつけられて笑われることがあったが、批判の質を自ら落とすことで、純粋な議論の妨げになる。これが俺は嫌なのである。

 
ハゲ差別2.png

人は必ず何かを差別している。
それは本人が差別しても許されると思っているものである。
自分の差別心がどこに設定されているのか省みるのも良いかもしれない。
そのことに意識的になっていないと暴走する。

差別は無くならない。

 

差別論スペシャル―ゴーマニズム宣言 (幻冬舎文庫)

差別論スペシャル―ゴーマニズム宣言 (幻冬舎文庫)

  • 作者: 小林 よしのり
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 1998/08/01
  • メディア: 文庫



ゴーマニズム宣言 差別論スペシャル (幻冬舎文庫)

ゴーマニズム宣言 差別論スペシャル (幻冬舎文庫)

  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 1998/08/25
  • メディア: Kindle版


ママ友がこわい 子どもが同学年という小さな絶望 (コミックエッセイ)

ママ友がこわい 子どもが同学年という小さな絶望 (コミックエッセイ)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA / メディアファクトリー
  • 発売日: 2015/08/28
  • メディア: Kindle版



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収益化剥奪!最強のメラ「【ゆっくり歴史解説】黒歴史上人物「藤村新一(ゴッドハンド)」完結編を心待ちにする日々 [心に残る1コマ]

最強のメラさんというユーチューバーの動画が面白い。
ポルポトマザーテレサの解説動画が衝撃的だった。

最近あげた【ゆっくり歴史解説】黒歴史上人物「藤村新一(ゴッドハンド)」が特にツボで、現在前編、中編まで公開されているが、早く更新されないかなーと毎日チェックを入れている。

ゴッドハンドと聞くと、多くの人はこの藤村新一が起こした事件を連想するだろう。
…と、思ったのだが検索しても最初の方には表示されない。
事件が発覚したのが今から19年前、2000年のことだ。
風化してきているのかもしれない。

この事件、どんな事件だったかというと、すごい石器をガンガン発掘してその世界のスーパースターとなっていたカリスマの発掘したものが、全て捏造だったという事件だ。

このことは当時、美術贋作漫画のツートップとして競い合っていた(かどうかは知らないが)細野不二彦の「ギャラリーフェイク」、里見圭&愛英史の「ゼロ THE MAN OF THE CREATION」でも取り上げられた。

ゼロはスーパージャンプに1991年から2011年まで連載された。ほぼ1話完結で、単行本は全78巻という凄さである。ゴルゴ13の美術版と捉えると分かりやすいと思う、毎回高額な報酬を受け取り、莫大な費用をかけて偽物ではない本物を再現するというコンセプト。

36巻の233話、「旧石器捏造」という話がある。ドイツの考古学者が、藤村新一の事件が発覚したことで、自分にも追求が及ぶのではと危惧することから話が始まる。
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真面目で家族愛が強いかったがために、仕事を失うことのプレッシャーから捏造を行ってしまったという話になっている。
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ギャラリーフェイクはスピリッツ1992年から2005年まで連載された作品。その後、復活して単行本は現在34巻。巧妙な贋作を作れる美術商の駆け引きを描いた漫画だ。
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23巻の3話、「落人たちの宿」という話がある。贋作被害を受けたヤクザから逃亡した先の温泉宿で、捏造事件を起こした学者と出会ってしまう。学者が自殺を考えていることを見抜いた主人公は捏造なんて死ぬほどのことじゃないからおやめなさいと説得する。
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どちらも藤村氏に対して同情的である。
ギャラリーフェイクは加藤唐九郎の事件を持ち出して説得を試みているのが面白い。
加藤唐九郎は「美味しんぼ」の唐山陶人のモデルなんだそうだ。海原雄山の師匠である!

加藤は「永仁の壺事件」という贋作事件を起こしたが、事件の真相については生涯語らなかった。しかし陶芸家としての評価は落ちるどころか高まったという。
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ちなみにギャラリーフェイクにある、ミケランジェロも捏造やってたという話は「神のごときミケランジェロさん」で読むことができる。
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ギャラリーフェイクとゼロ、2つの漫画の事件に対する態度には当時正直首を傾げた。
で、それに対して最強のメラさんの動画は期待に応えるものであった。

というか、おそらくどちらの漫画家もこの動画を先に見ていたら、あんな風には書かなかったのではないかと思える。

トランペットを欲しがってショーウインドウにへばりつく少年に「店主、その小僧にこのトランペットを」「いいんですかいダンナ」(20年後)「おじさんがあの時の!」みたいなホラ話を自身のサクセスストーリーとしてほうぼうで語っていたという。トランペットを買ってあげた考古学者も「そんなことあったら覚えてると思うけど」と首を傾げ、昔から藤村氏を知る人物も、「あいつが考古学好きだななんて聞いたことねえ」と証言していたという。なんか虚言癖の人のようなのだ。

これを書いている最中にも銭湯絵師とか、東大卒のカリスマ起業家とかの作話師の事件が注目を集めている。こういう手合いに私は吐き気がするのである。

動画は、当時の日本の考古学が非常に遅れていたという見解も示している。動画を見ていると、韓国のウリナラファンタジーをバカにできないなとも思えてくる。

 
で、藤村氏は現在どうしてるのかと思って調べてみると、現在は年金暮らしだそう。事件のせいで家族はめちゃくちゃになり離婚。精神病を患って入院。病気のせいなのか、指を二本、自ら切断したという。。。

…となると、漫画の態度の方が正しかったのかなあという弱気にもなる。
いやでも捏造はダメでしょう。
罪の意識の芽生えづらい人もいるだろうし。

 
…動画の後編はまだかなあ。
メラさんも、流行りのスパム判定で収益剥奪の目にあい大変そうである。
 

ゼロ コミック 1-78巻セット (ジャンプコミックスデラックス)

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  • 作者: 里見 桂
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2011/12/19
  • メディア: コミック


ギャラリーフェイク 全32巻完結(ビッグコミックス) [マーケットプレイス コミックセット]

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  • 作者: 細野 不二彦
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • メディア: コミック


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ジョジョといえばフジツボ!フジツボマニアが押さえておくべき、桜玉吉「しあわせのかたち」 [心に残る1コマ]

アニメ「ジョジョの奇妙な冒険」第5部いいですな。こんなクオリティでジョジョが連続アニメ化されるだなんて、なんという幸福だと思います。U-NEXTで少し遅れて見てますけども、いよいよ俺認定第五部ナンバーワンバトル、メタリカvsボス戦が始まりますよ。

牛乳配達にケチつける主婦みたいに細かいこと言うようですけど、原作でいう58巻のドッピオ初登場の直前に、61巻で明かされるボスの出生の秘密をインサートしてくるのはどうなんでしょう。いや、いいんですけど、そのボスの服装がまんまで、ドッピオが出てきた瞬間にこいつがボスと分かるじゃないですか。

ドッピオ初登場時って読者は「なんだこいつは?新手のスタンド使いなんだろうけど」って風に読んでたと思うんですよ。ところが謎の占い師が「ゴゴゴゴゴ」と登場する。ああ、こっちが新手のスタンド使いかってミスリードを誘う意図があったと思うんですけども。

 
ところで、ボスの出生のエピソードのなかに、獄中出産した母親が妊娠したのが2年以上前だとして、そんな話は誰も信じない、「膝の中で育つフジツボの話の方がまだ真実味がある」ってのがありました。原作だとナレーションに言わせてましたけど、アニメでは女性看守に言わせてましたね。
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そのフジツボの話を漫画で紹介してるのがあったので紹介します。
いわゆる都市伝説的なものなのでしょうけども、自分はこの漫画で初めて知りましたし、他で聞いたことはありません。

漫画はファミコン通信で連載していた桜玉吉の「しあわせのかたち」
この作品はゲームのパロディ漫画で、フジツボのエピソードが登場するのは1992年発売の単行本3巻。

ドラクエ風の冒険の末にラスボスの基地へたどり着くと、そこは主人公たちをバックアップしてくれている神様の住む雲の上の世界だった。
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実は雲の裏側に、石をひっくり返すと虫がわしゃわしゃいるみたいに敵がへばりついていたというギャグで、ここからフジツボの話を連想する。
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ところでフジツボがなんなのかって話ですけど、船の底とかにくっついて固くなっちゃう生き物ですね。これとらないと船重くなっちゃうんでメンテナスするんですけど、タモリ倶楽部でもやってました。船底を赤く塗るのはフジツボよけなんだそうです。


ジョジョでも過去に取り上げてましたね。14巻のダークブルームーン戦か。
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  • メディア: その他



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漫画は睡眠薬レイプをどう描いてきたのか? [心に残る1コマ]

本当に偶然も偶然なのだが磁場が働くのだろうか。
「こちら葛飾区亀有公園前派出所」105巻を電子化したら、その中に両さんが麗子のフィギュアを作るために睡眠薬を飲ませて採寸する話があって、血の気が引いた。
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ファンの間でも流石にやり過ぎと言われている回である。掲載は1997年。
こち亀は全部持っている訳ではなく、少しづつランダムに買い進めている。今回二冊だけたまたま実家から持ってきた中の一冊がそれだったわけである。

二回に渡って批判してきた大谷昭宏の主張の中に、「フィギュアマニアは女性をフィギュア化するために殺す危険な人種」というのがあった。当時未解決の、ある誘拐殺人事件から氏が連想したものだ。性的欲求を満たすために心身の自由を奪おうとした結果起こった事故と考えるのが自然で、実際犯人も手記で同様のことを述べているらしい。激しい偏見の入った大谷氏はフィギュアマニアと強引に結びつけたわけだ。

こち亀の105巻には氏が嫌悪した恋愛シミュレーションの話(現在のスマホの課金ブームを予知した神回)も掲載されており、大谷氏の主張もここから刷り込まれたんじゃねーだろうかと思ったりする。

 
ところで睡眠薬で女性を眠らせるという行為を、漫画はどう描いてきたのだろうか。

まず思い出すのは初期のドラゴンボール(1984年ごろ)。
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ウーロンがブルマに一服盛ってスケべなことをしようとする話がある。
ところが盗賊のヤムチャの襲撃にあい、ウーロンは痴漢行為どころではなくなり睡眠不足に陥る。鳥山明の作風において、セックスそのものは基本的にタブーである。保母さんのおっぱいに触りたがるような、マセガキの度を越したいたずらとして描写されている。

さらに思い出すのが北条司の初期の「シティーハンター」(1985年ごろ)。
主人公の冴羽獠が仲間の冴子に一服盛ろうとする話がある。
セックスさせるという約束を餌に、獠をタダ働きさせ続ける冴子に対し、獠は睡眠薬を使い強引にことを成就しようとする。全て見透かしている冴子は逆に獠に睡眠薬を飲ませ、記憶のない獠をベッドに引き摺り込み、約束を守ったと嘘をついてさらなる貸しを作る。ルパン三世と峰不二子のような、大人の男と女の小粋なやりとりという感じだ。

花沢健吾の「ボーイズ・オン・ザ・ラン」の終盤(2008年ごろ?)では、美術モデルをやっているヒロインが、クライアントから睡眠薬を飲まされたことに気づいてトイレに籠城し、眠るまいと必死に耐え続ける話があった。

古谷実の「シガテラ」4巻(2005年)では純朴な好青年が友達の彼女を好きになり、睡眠薬で眠らせてレイプしたいという誘惑に葛藤する話がある。行為に及ぼうとした直前で、青年は思いとどまる。こういう妄想に自己嫌悪するという普遍的な思春期の男の子を象徴しているのだと思う。
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青年は行為を思いとどまるのだが、共犯者の幼馴染が青年の見ていないところで事を成し遂げようとする。実際成し遂げたかどうかは曖昧になっていて、事件が起こったことそのものを被害者側は誰も気づいていない。同じことが読者の親しい女性にも起こりうるかもしれないという恐怖を描いている。

 
こういう描写は真似したやつがいたらどうするんだという問題もあるだろう。前述の大谷昭宏もウルトラ後出しで犯人はこち亀を読んで犯行に及んだと言い出すかもしれない。

しかし、もしも睡眠薬を手に入れたら…?という妄想は男の誰もが一度はすると思う。時間停止AVと同じぐらいのレベルで。実に漫画チックなワードで、あまりリアリティがないと思う男がほとんどだと思う。普通はしない。俺もしない。それでも実行してしまう男がいないわけではない。

世の中を無菌室にしてしまってはダメで、世界にはこんな汚い悪いことがありふれてるんだぞという現実も見せておかないと、いざ社会に出たらありふれた悪意に対して無防備すぎという人が増えるだけだ。

 
ちなみに最近ゴーマニズムに取り上げられたキッカケで、伊藤詩織の「Black Box」を購入し電子化した。就職の相談に言ったら睡眠薬を盛られ強姦されたと記者会見したのは聞いていたが、訴えた相手が小林よしのりを訴えるというややこしい展開になってるそうだ。まだ読めていない。

 
ところでこち亀のあの描写は色々と謎だ。
そもそも両さんの性欲は「おげれつビデオ」とかエロ本などで度々描写されるが、劇中に登場する人間に対して性欲を抱くことは(初期を除けば)ほとんどなく不自然だ。お金のためもあるのだろうが、女性を下着姿にして何の劣情も催さず採寸してる姿はこれまで感じていた異様さをさらに強調するシーンになっている。



 

こちら葛飾区亀有公園前派出所 105 (ジャンプコミックスDIGITAL)

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  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 1997/12/04
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