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このマンガが本当にすごいのか?「そしてボクは外道マンになる」の単行本が売れない理由 [注目作品]

どの雑誌に載ってるんだかイマイチよく分からない平松伸二の「そしてボクは外道マンになる」の最新話を読んだ。単行本2巻からの続きのようだ。ドクターマシリトに「全然外道じゃない」と酷評されてからの続き。ちなみに掲載誌は「グランドジャンプPREMIUM」。プレイボール2が載っている「グランドジャンプ」の増刊誌で、隔月刊なんだと。

さあいよいよ外道編が始まるのかと思いきや、まだ自問自答を繰り返すという回だった。しかしこれがなかなか面白かったのである。
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「悪魔の心」みたいなキャラに散々なじられて、刀を手にとって居合で悪魔を真っ二つ。しかしそれに対して「居合って言っても習いたて」「刀も模造刀」「悪魔のデザインはデスノートの影響丸わかりと、どこまでもカッコ悪い&才能ないと悪魔のツッコミが入る。容赦ない自己批判。この3連コンボは良かった。描くための怒りゲージを溜めるという回なのだろうか。何か殻を破ろうとあがいている。漫画家生活最後の作品としてやり残しがないようにしている。そんな感じがする。

 
ところでこの漫画、単行本があまり売れてないらしい。
作者がTwitterで愚痴っている。売れ行きがよくなければ当然打ち切りもありうる。もったいないなとは思うが、それも仕方ないかなとも思う。この漫画には致命的な欠点がある。実話ものなのに悲しいぐらいリアリティがなさすぎるのだ。

例えば1巻。
主人公が悪役キャラの取材のために繁華街に行ってチンピラに絡まれ、屈辱的な目に会うがその体験が作風に深みを与える。そのチンピラは担当編集者の仕込みだった。。。という話だが、ものすごく嘘っぽい。百歩譲って実話だとしても、それを真実だと信じさせるデティールがまるで無い。
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完全フィクションだったらその展開もアリなのかもしれないが。要するにストーリー漫画家のベテランとしてのノウハウが作品に悪影響を与えているのだ。話を盛ってもいいが、盛り付けが下手すぎるのだ。

さらに担当編集者が刑務所で連続殺人犯と面会させるシーン。こちらの方がまだリアリティがあるのだが、やはり細部の情報が皆無で嘘っぽい。実際の新聞記事を載せるとか、真実味を持たせる手段はいくらでもある。梶原一騎をよく引用しているが、アンドレを木こりと信じさせた彼から一体何を学んだのかと問い詰めたいぐらいだ。

とは言え、Dr.マシリトの登場回は良かった。これが無ければ単行本を買うこともなかった。
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単行本で初めて知ったが、個展に花を贈らなかった編集者を担当から外した経緯を漫画で暴露したのはセコイ話だがリアリティがあって良かった。かなり人間臭さが出ているし、今作執筆に当たって妥協しない姿勢も期待が持てる。
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自分はリアルタイムでブラックエンジェルズ、ラブ&ファイヤー、キララを読んでいたが、青年誌に移ってからはの平松伸二作品に馴染めないのでほとんど読んでいない。そんな自分が久しぶりに買った「そしてボクは外道マンになる」。もっと面白くなるように期待している。

 

そしてボクは外道マンになる 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

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  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2017/08/18
  • メディア: Kindle版



そしてボクは外道マンになる 2 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

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タグ:平松伸二
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