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よく暴走する美味しんぼ。一万円札は悪人なのか?安彦良和「王道の狗」人物伝2福沢諭吉 [歴史漫画]

美味しんぼ」で差別主義者と批判しただけには飽き足らず、近年また「まさかの福沢諭吉」という本を出して福沢諭吉を批判する雁屋哲。またその本が結構高額な上に、大して評判にもなっていない。しかもこのおじさんは義憤に燃えて、何度も間違いをやらかしている人なので、今度もそうなんちゃうのと思ってしまう。
金玉均5.jpg

そもそも漫画読みとして雁屋哲が嫌いなのは、美味しんぼで敵役だった海原雄山が途中から原作者の都合で人格者に変えてしまったのを、山岡の未熟さからくる誤解だったという話にしてしまったこと。まあ、やらかし続ける原作者の本質を暗示してるといえないこともない。じゃあ福沢諭吉だって世間の評判通り人格者かもしれないじゃないか。

調べてみると、こういう福沢諭吉議論は過去にもあったらしい。
結局のところ、朝鮮の革命家に援助し、色々批判的な論評をしたことが決定打になっているような気がする。これは当時の朝鮮がどのような国家だったのかという話だ。先日、中国のエロ同人作家が逮捕されて懲役4年食らったというニュースがあった。くまのプーさんが権力者にそっくりだという理由で発禁になっているニュースもあった。そういう国を論評したら、後世差別主義者だと罵られたみたいな話なんではないか。あ、左翼やマスコミや、しりあがり寿が中国を批判しないのもそういう理由なのか。他国を批判する=差別者みたいな論法が、彼らの脳内にはあるのかなあ。うん、これは発見だ。

福沢諭吉の差別者論の根拠は国内のことについてもいろいろあるそうだが、福沢諭吉といえばお母さんが乞食のシラミ取りを趣味にしていた話が、子供の頃に読んだ学研まんがで強く印象に残っている。
諭吉4.png
太田じろう「福沢諭吉」より)

これはみなもと太郎の「風雲児たち」でも引用されているエピソードで、決して差別をしてはならないというだけに留まらず、偉そうにしてる奴らなんかほっとけと教育されていたという。
諭吉5.png
身分差別で苦しみつつキャリアアップしてきた人という福沢諭吉が差別者というのはどうにも繋がらない。でもバカには厳しいのは確か。だから口が滑ることもあったのではないか。そして母の博愛精神っぷりにも正直ついていけないとこがあると漏らすなど、まあロボットみたいな平等超人ではない。人間味があるのだ。

安彦良和の「王道の狗」の福沢諭吉は非常に味わい深く描けていると思う。素晴らしい。
諭吉3.png

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王道の狗 文庫版 コミック 1-4巻セット (中公文庫 コミック版)

王道の狗 文庫版 コミック 1-4巻セット (中公文庫 コミック版)

  • 作者: 安彦 良和
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2014/12/20
  • メディア: 文庫



マンガまさかの福澤諭吉 上

マンガまさかの福澤諭吉 上

  • 作者: 雁屋 哲
  • 出版社/メーカー: 遊幻舎
  • 発売日: 2016/11/01
  • メディア: 単行本



マンガまさかの福澤諭吉 下

マンガまさかの福澤諭吉 下

  • 作者: 雁屋 哲
  • 出版社/メーカー: 遊幻舎
  • 発売日: 2016/11/01
  • メディア: 単行本



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合気道は本当に強いのか?安彦良和「王道の狗」人物伝その1武田惣角 [歴史漫画]

刃牙の最強死刑囚編のアニメがやってるそうだ。

途中から中国行ってチームバトルやったり、ボクシング幻想(妄想)を復活させようとしたり、現在まで続く迷走の発端となったシリーズだ。構造上の欠点として、武器使いを素手でどう攻略していくかというコンセプトが、いつの間にか「素手は武器持ちよりも強い」という間違った落とし所に着地させようとしたことが挙げられる。武蔵編もそうだ。

さて、話は変わるが、自分の中で安彦良和漫画唯一のヒットとなった「王道の狗(おうどうのいぬ)」なのだが、その中に登場する武田惣角(たけだそうかく)の興味深いセリフがある。
武田惣角3.png
「体も技も鍛えねばならねが 命のかかった時はやはり武器だ 拳は刃物には勝てね」

身も蓋もないセリフであるが、真実だと思う。

この武田惣角、初めてその存在を知ったのは漫画「拳児」だ。ちっちゃいおじいちゃんが、いわゆる合気で大男たちを文字通り軽くひねってしまうのは読んでいてお口あんぐりである。マジかよ。。。そう思ってしまう。
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そんな武田惣角が、王道の狗では「拳は刃物には勝てね」である。しびれるー!

武田惣角にしごかれる主人公が「強くなれば正しさを強さで証明できる。。。」というセリフも印象的だ。
武田惣角1.png
幕末の志士って議論するけど、腕っ節の方も相当じゃないですか。やはり強さが説得力を持つということもあったんじゃ無いかなあと思う。非言語コミュニケーションだ。


ところで、合気道の達人は本当にこんなにも強かったのだろうか。
植芝盛平の動画があるが、これはちょっと嘘っぽい。

バランスが悪いからだ。
アスリートなら、自身の技術体系の範囲の中で、ぐらついたりはしないはずだ。何か歌舞伎で見栄を切るような、ポーズを決めるような所作も見られる。動画撮影という概念が一般的でない時代の話だ。緊張もあったのかもしれない。

間違い無いのは、こういう人は若い頃はバッキバキに鍛えているとは思う。
刃牙の渋川剛気のモデルになった塩田剛三は、学生時代に木村政彦と交流があったという。そのあと、植芝盛平に弟子入りしたというから、強さの証明はかなりの確度があると思う。

思うに、こういう気で人を投げ飛ばす道場には、数々の武術で鍛え上げたバトルマニアが入門するべきで、格闘技未経験者が弟子入りするのは騙されるリスクが高いんじゃないかなあ。
 
 

王道の狗1 (中公文庫 コミック版 や 3-30)

王道の狗1 (中公文庫 コミック版 や 3-30)

  • 作者: 安彦 良和
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2014/09/20
  • メディア: 文庫



王道の狗 文庫版 コミック 1-4巻セット (中公文庫 コミック版)

王道の狗 文庫版 コミック 1-4巻セット (中公文庫 コミック版)

  • 作者: 安彦 良和
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2014/12/20
  • メディア: 文庫



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安彦良和の良さがいまいちピンとこない俺のマイブームになった「王道の狗」が面白い [歴史漫画]

安彦良和「王道の狗」がマイブームだ。
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あまりに面白かったものだから、三部作とされる「虹色トロツキー」「天の血脈」も大人買いしてしまった。こちらはそこまで面白くなかったのだけど。

安彦良和はよく分からない漫画家だ。
島本和彦の「アオイホノオ」で「極端な立ち方」と評されるまで、そういう風に捉えてはいけないアンタッチャブルな漫画家なのかと思っていた。王道1.jpg 「ガンダム・ジ・オリジン」で、月刊ペースでフリーハンドみたいな作画でモビルスーツ絵を量産しまくってた時は、ようやくスゴイと思えたのだけど、漫画としては相変わらずな感じだった。シャア編が始まるまでは。

「王道の狗」は暗黒の明治時代を舞台に、日清戦争がなぜ始まったのかを描いている漫画だ。
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主人公は政治犯の脱獄囚。アイヌのバンダナを巻いて、武田惣角に弟子入りしスーパーパワーを身につけるという流れは、これまで読んだ安彦良和の漫画にはないハッチャケぶりで、良い意味で漫画っぽい。ある意味、ゴールデンカムイっぽい。

ゴールデンカムイといえば、明治時代のスター総出演のジャイアントロボという感じだが、王道の狗も明治の偉人が多数出演。その描写がすごく良いのだ。次回からその辺を紹介できたらなと思う。



王道の狗1 (中公文庫 コミック版 や 3-30)

王道の狗1 (中公文庫 コミック版 や 3-30)

  • 作者: 安彦 良和
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2014/09/20
  • メディア: 文庫



王道の狗 文庫版 コミック 1-4巻セット (中公文庫 コミック版)

王道の狗 文庫版 コミック 1-4巻セット (中公文庫 コミック版)

  • 作者: 安彦 良和
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2014/12/20
  • メディア: 文庫



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孔明の罠?規制された三国志AV、井上綾子「三国志熟女」 [歴史漫画]

熟女が三国志を語るAVに、業界団体から自主規制が入ったというまとめを見た。

規制した結果パッケージが可愛らしいシンプルな女の子の絵になっているという。
そんなことあるんかな?と調べてみたら本当だった。



経緯が大層面白かった。

要するに、朝青龍がコロコロコミックに激怒した件の影響なのだ。
教科書の落書きをネタにした企画記事の中にジンギスカンのものがあり、それをTwitter経由で知った朝青龍が大激怒。我が国の英雄になんてことするんだ、というわけで外交問題にまで発展した。

販売会社のTwitter


ちなみに可愛らしいパッケージイラストを描いたのは出演女優で、Twitterに今回の経緯をコミカライズしている。一本気蛮みたいな絵柄だ。



そのうち購入してみようと思う。
加入しているU-NEXTでは見られないみたいだ。ちぇっ。

 



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美味しんぼの作者に批判される福沢諭吉!読んでおきたい福沢諭吉漫画あれこれ [歴史漫画]

dマガジンでSAPIOの新刊が出ていた。
いつ休刊になるのかとハラハラしているので安堵した。
と言ってもゴーマニズムしか読まないんだけど。

ゴーマニズムはSPA!でも再開されたので、こっちは頭山満専門になってしまうのだろうなあ。今回の頭山満漫画は金玉均が暗殺されるエピソード。金玉均は朝鮮の近代化を目指し活動していた政治家だったが政争に破れ、日本に隠遁していた。

金玉均の暗殺計画の情報をキャッチした人が、福沢諭吉に連絡を入れるように頼むも、福沢が変に勘ぐってしまい躊躇。金玉均は暗殺されてしまう。
金玉均2.png
それに至るエピソードが非常に惨たらしく描かれている。小林よしのりの描く明治時代はすごい陰惨な空気が漂っていて読んでいて怖い。

福沢諭吉と聞いて一番目に思い出す漫画は、彼を差別者として批判していた美味しんぼ。リアルタイムで読んでいて、この漫画なんか変じゃないか?と思いまくっていた時期だったが、当時は家にネットも無かった、そんな時代だったような気がする。今よりもメディアに対してずっと受け身だった。
金玉均5.jpg

「新ゴーマニズム宣言」7巻での、金美玲のセリフが好きだ。
金玉均1.png
「福沢諭吉が台湾に対し『あれは非常に蛮族である』と言いましたよね。あれはどう思いますか?」
「清朝も『あそこは化外の地』と言ったんです。台湾人は元々中国の南の海岸から移民してひたすら農業に励んで知的な向上をしなかった。そんな時代があります。日本が台湾を植民地にして初等教育を徹底的にしたことから知的関心が高まってきたんですよ。それは歴史の事実なんです。歴史には光と影がある。あなた方のように単純なものではない!

まんがで読破」シリーズの「脱亜論」も面白かった。
支援していた金玉均が失脚したことで大いに朝鮮に失望し、のちに美味しんぼの雁屋哲に差別者と批判されることになる脱亜論を書き上げるエピソードについて描いている。少々偏執的に福沢を描いているが、これはバランスをとっているのかどうなのか意図が興味深い。作画のデフォルメもなんか好きだ。
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「天は人の上に人をつくらず。」という有名な言葉は、雁屋哲もそうだがそれのみが取り上げられがちだ。後に続く、「だけど現実はそうじゃなく、格差が生まれてしまっている。それは勉強をしないからだ。」という意味の言葉の方が重要だと思う。福沢のリアリストっぷりが伝わってくる。

ちなみに1983年に発行された小学館の学習漫画の決定版、「日本の歴史」17巻にも2ページにわたって福沢諭吉の教えが少しズレた表現で紹介されている。現実問題がスルーされ、ひたすら平等推しなのが非常に興味深い。
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今回、調べていたら安彦良和の「王道の狗」という漫画にも福沢諭吉と金玉均が出てくるらしく、読んで見たくなった。安彦さんの漫画、ちょっと苦手なんだけども。
金玉均4.jpeg

 

脱亜論 (まんがで読破)

脱亜論 (まんがで読破)

  • 作者: 福沢諭吉
  • 出版社/メーカー: イースト・プレス
  • 発売日: 2015/09/19
  • メディア: 文庫



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国民性?安土桃山時代にもあったレスバトル!外人も参戦!「フロイス日本史」 [歴史漫画]

「現代語訳 信長公記(しんちょうこうき)」を少しづつ読み進めている。
現代語訳してあると言ってもエンタメではないので、あまり頭に入ってこないままパラパラとページをめくっている。時々、目が止まるところがある。

その中に「法華宗・浄土宗の宗論」というのがあった。
348ページ。
いわゆるレスバトルである。
信長公認の。
日本人は戦国時代の頃から、こんなことをやってたわけだ。
好きだね。

ただ、読んでいて色々引っかかる。
原作者は太田牛一という、当時信長の部下だった人だが、おごり高ぶったゴージャス法華経vs質素な浄土宗という勧善懲悪な構成になっている。

レスバトルの結果を要約すると、
-----------------------------
浄土宗「この宗教用語についてどう思うの?」
法華経「え?何言ってるの?」
浄土宗「こいつら、こんな事も知らないぜ?」
観客「バーカバーカ」
法華経「どういうこと?(あたふた)」

信長「法華経の負け!」

著者、中川太古注釈「事実は法華経が勝ったのだけど、信長の陰謀で負けにさせられた」
-----------------------------
 
なんだこりゃ、と思って検索して色々調べて見た。
これは後世に「安土宗論」と呼ばれた出来事で、信長の陰謀だとか、いやフェアだったとか、いろんな人がいろんな解釈をしているらしい。問題の宗教用語について、浄土宗側は観客すら知っていて当然の常識だとして解説すらしていないことから、これがどういう意味なのかということについても現代でも議論されているらしい。ブラフをかまされた法華経がそれを真に受け、思考停止してしまったという風にも読める。そうだとしたら、それは自身の宗派への研究に対する自信の無さの現れと考えることも出来る。

 
こういった宗論がちょこっと読める漫画として、「まんがで読破」シリーズの「フロイスの日本史」がある。フロイス1.png
こっちはキリスト教vs仏教だ。こっちは仏教の反則負けに終わっている。
フロイス3.png

フロイス日本史は活字の本で少しづつ読んで現在3巻目。
やっぱりレスバトルばかりしている印象がある。

まあ、他の宗教の良さを基本絶対認めない奴らなので、「完全に論破www」とかしか書いてないので読んでいて薄くイラっとする。あまり読み進められない原因だ。

 

現代語訳 信長公記 (新人物文庫)

現代語訳 信長公記 (新人物文庫)

  • 作者: 太田 牛一
  • 出版社/メーカー: 中経出版
  • 発売日: 2013/10/10
  • メディア: 文庫



フロイスの日本史 (まんがで読破 MD108)

フロイスの日本史 (まんがで読破 MD108)

  • 作者: ルイス・フロイス
  • 出版社/メーカー: イースト・プレス
  • 発売日: 2012/05/31
  • メディア: 文庫



完訳フロイス日本史〈3〉安土城と本能寺の変―織田信長篇(3) (中公文庫)

完訳フロイス日本史〈3〉安土城と本能寺の変―織田信長篇(3) (中公文庫)

  • 作者: ルイス フロイス
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2000/03/01
  • メディア: 文庫


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Fateで大人気?岡田以蔵好きに勧めたい漫画、小山ゆう「お〜い!竜馬」とみなもと太郎「挑戦者たち」 [歴史漫画]

よく知らないけども、フェイトとかいう人気アニメだかゲームだかで岡田以蔵が出てきて人気が高まっているという。歴史上の人物が夢の対決をするという内容なんだそうだ。ワールドヒーローズみたいなもんなのだろうか。

「岡田以蔵といえば龍馬伝をみんなに見て欲しい!」という書き込みに時代を感じる。そんな最近の作品になってしまうんだ?まあ、俺もその時代のミーハーな作品しか見てないのかもしれないが。

小山ゆうの「お〜い!竜馬」の岡田以蔵による吉田東洋暗殺シーンは一度紹介したいと思っていた。
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「斬っちゃあせんぞ!!斬ってしまっては、武市の差し金であるという証言を聞き出せなくなる。じゃが骨が砕けるぐらい我慢せい!!」
「くははははは!!うぬらの剣には品というものがない!!武市も、わしをなめたものよのう!!おのれらごとき腕で、このわしが斬れるとと思うたがか!!」
「このうす汚れた犬どもが!!土佐勤王党も、ついに終わりよのう!!これで武市瑞山も、おのれらも全員、打ち首じゃあ!!」

この圧倒的絶望感!
50歳のオッサン相手に3人がかりなのに全く勝てる気がしない!
大魔王バーンに匹敵するのではなかろうか。
そこに様子を伺っていた以蔵が乱入!

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「なっ!!なんじゃ〜っ!?もう一匹、犬が、おったがか〜っ!」
「犬じゃと〜っ!!わしらも人間ぞ!!死ねー、東洋!!」

これはすごいカタルシスを感じる。
吉田東洋の声はデーモン小暮で脳内再生されてしまう。

もっとリアリティを感じて好きなのは、みなもと太郎の「挑戦者たち」における、実際にあったというエピソード。勝海舟に依頼され、ジョン万次郎を護衛した以蔵は、暗殺者数名を返り討ちにしながら、さらに隠れている数人の気配を察知し、拳銃を懐から取り出そうとするジョン万次郎を諌め、的確な指示を与えているという化け物ぶりを発揮している。常に殺るか殺られるかで生きていると、人間に隠されている超感覚が発達するのだろうなあ。
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ついでにこの後、ジョン万次郎からお礼の意味を込めて拳銃をプレゼントされるが、「私には無用の長物です」と一蹴している。

おまけ。
「あかね色の風」より車田正美の岡田以蔵。
以蔵4.png

 
「お〜い!竜馬」は、これを書いている現在、3巻までKindle版が無料なんだそうだ。超名作なので、これを機会に1人でも読む人が増えたらいいなと思う。

 

お~い!竜馬(1)【期間限定 無料お試し版】 (ヤングサンデーコミックス)

お~い!竜馬(1)【期間限定 無料お試し版】 (ヤングサンデーコミックス)

  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 1987/10/05
  • メディア: Kindle版






挑戦者たち 増補改訂版

挑戦者たち 増補改訂版

  • 作者: みなもと太郎
  • 出版社/メーカー: 復刊ドットコム
  • 発売日: 2014/06/14
  • メディア: コミック


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戦わなければ生き残れない!劉季漫画の新作、高橋のぼる「劉邦」とウェブ漫画「カンニングスタンツ」 [歴史漫画]

高橋のぼるの「劉邦」を読んだ。
絵柄が苦手で敬遠してしまう作風だが、人気漫画「土竜の唄」で知られる高橋のぼるがどのように劉邦を描くのか気になった。
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まず蕭何がかなり高飛車な性格になっていて驚いた。
「赤龍王」や「項羽と劉邦」ではいきなり慕われているが、この「劉邦」では蕭何が劉邦を軽蔑している。そして「学校でもらしてしまった生徒」のごとく、蕭何が恥をかいたところ劉邦にフォローされ惹かれ始めるというのが大まかな流れ。蕭何をかばったために劉邦は処刑されそうになるが、奇跡が起きて助かる。漫画としては面白いのかもしれないが、その面白さの部分が歴史となんの関係もないのが残念だった。

劉邦が出てくるネット漫画に「カンニングスタンツ」というのがある。
カンニング1.png
あまりネット漫画は読まないのだが、これは時々読んでいた。
いろんな意味で出鱈目なのだが、その史観には惹かれるものが多い。
カンニング2.png
高橋のぼるの「劉邦」におけるウソは一般漫画的なウソだが、「カンニングスタンツ」のウソは歴史漫画的なウソである。自分は圧倒的に後者を支持したい。
カンニング3.png

この記事を書くために久しぶりにチェックしてみたら終わっていた。。。
モチベーションがなくなったのかなあ。
この人、ストーリー漫画に向かないと思うんだよなあ。
エモーショナルに見せようとするのを止めてたら、もっと展開早くなって、あれやこれやの新解釈が読めたのに残念。

 
本宮ひろ志「赤龍王」、横山光輝「項羽と劉邦」、どちらも傑作だが四半世紀前の作品である。そろそろ新鮮な解釈によるプロの歴史漫画が読みたい。

 

劉邦(1) (ビッグコミックス)

劉邦(1) (ビッグコミックス)

  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2017/12/27
  • メディア: Kindle版



劉邦 2 (ビッグ コミックス)

劉邦 2 (ビッグ コミックス)

  • 作者: 高橋 のぼる
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2018/02/23
  • メディア: コミック



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2は大人気だが1は誰も知らない?名作三国志シューティングゲーム「天地を喰らう」を語る [歴史漫画]

ゲームセンターCXでPCエンジン版「天地を喰らう」が取り上げられた。
アーケードからの移植版で、放送ではベルトスクロールアクションと紹介されていたが、俺はシューティングゲームだと思っていた。
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(今回の画像は全て拾い物)

課長のマネージャーのオススメだというので驚いた。
このゲーム、俺は「ストライダー飛竜」と並んで好きなカプコン作品なのだが、移植されたり話題になるのはいつだって続編の「2」の方なのだ。そっちは完全にファイナルファイト風なベルトスクロールアクションになってしまい、心底がっかりした覚えがある。

旬な時期に家庭用に移植された「1」は放送でも使われたPCエンジン版のみ。
開発中の画面がえらくショボい上に、かなり長いあいだ発売まで待たされた様な気がする。結局買ってはないのだが。放送を見たら、思ったよりよく出来ていた。プレイ中の音がショボく、計略が単なるメガクラッシュになっていたり、細かいことをいえばキリがないが。

そして番組の最後にマネージャーから「こんなゲーム知らない」と衝撃の発言が!やっぱりというか、「2」をオススメしたつもりだったらしい。どこまでも不遇な「1」である。

 
せっかくだから原作の「天地を喰らう」を紹介。
天界に住む巨大女に夜這いをかけるところから始まる、進撃の巨人も真っ青な三国志漫画である。少年ジャンプ連載の本宮ひろ志作品。以前も描いたが、ベテランになると歴史漫画を描きたくなって失敗するというパターンが昔はよくあった。そういうハードルの高さを意識したのか、大幅なアレンジが加えられているのである。結果はやっぱり打切りっぽい尻切れバッドエンドなのだが。人気は結構あったらしい。作者の本宮ひろ志が飽きてしまったようだ。

三国志漫画としてあまり面白くないが、董卓編は今でも一級品と思える新解釈だった。呂布がローマ人っぽい風貌なのがかっこいい。ローマ人っぽいと何かその最強っぷりが非常に説得力がある気がするのだ。ちなみに貂蝉は呂布の妹となっており、母が丁原によってヨーロッパに売り飛ばされた復讐の一環として董卓に寝返るという脚色がされている。前述のゲーム「1」の登場シーン「黄巾族を滅ぼしたぐらいで浮かれておるわ。」「所詮我々の敵ではありません。指一本触れることすら出来ないでしょう」という名シーンはCXでは放送されなかったが、あれは単にカットされただけなのだろうか。
天クラ1.jpg
さらに趙雲がカッコよい。これが自分にとってファースト趙雲だったので、後で横山光輝三国志読んだ時にドカベンのような趙雲が出てきてガッカリした。もちろん読み続けるとしっくりくるのだが)。この「天地を喰らう」の趙雲は、三國無双に影響を与えたと思っている。
天クラ3.jpg
話が色々前後してややこしいが、「1」を始めてゲーセンでやったとき、敵が固くて本宮ひろ志っぽくないなあとガッカリした。原作はもっとスパスパ敵をやっつけてるイメージなのだ。そのスパスパなイメージを、真・三国無双が引き継いでいるような気がする。しかし「1」の硬さに馴染んでしまったせいか、そのスパスパ感にリアリティを感じられなくて無双ゲームにはあまり興味なくいる。もっと若い頃に遊んでおけばハマったろうなあと思うと残念だ。

もちろんファミコン版1と2もやっている。
こっちはRPGだが、シナリオは横山光輝三国志そのまんまでどうかと思った。戦闘はチマチマしていて面白かった。「コロコキュ!」とかSEが楽しい。

 

[まとめ買い] 天地を喰らう

[まとめ買い] 天地を喰らう

  • 出版社/メーカー:
  • メディア: Kindle版



天地を喰らう 【PCエンジン】

天地を喰らう 【PCエンジン】

  • 出版社/メーカー: NECアベニュー
  • メディア: Video Game



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NHK正月時代劇「風雲児たち~蘭学革命篇~」はどうだったか? [歴史漫画]

元旦から仕事が死ぬほど忙しく、更新など夢のまた夢という感じで間が空いてしまいました。
新年一発目はこれ。

みなもと太郎原作、NHK正月時代劇「風雲児たち」はどうだったか?

結論から言うと、やっぱり原作の方がいい。
当たり前の話なんですけど。

まあ、アニメにしろ映画にしろ原作を売るための宣伝媒体でしかない。これ以上ないぐらいの贅沢な環境と条件で放送されたのは喜ばしいことだと思う。それらを含めてケチつけるのもどうかと思うので、ちょっと言い方を変えてみる。

ドラマで初めて原作を知った方へ。
原作はドラマよりもっと面白いぞ!

 
俺が一番好きなのは、今でいうCMソングを作って商売を成功させた源内のことを、良沢が「卑怯な商いだ」と斬って捨てるエピソード。あー、こういう人いるいると、軽く微笑んでしまうコマだが、これがこの蘭学事始編の構成の核を端的に表している重要なコマだ。二人のキャラ設定だけでなく、この事業が翻訳と同じぐらい困難な「対世間」も含まれているという見事な暗示となっている。が、ドラマには出てこなかった。
買いたい1.png
ドラマ版は「対世間」の表現を、「暴漢に襲われまくる」という風に記号的にアレンジして済ませていた。尺の都合だと思われるが。。。原作では玄白のクレーム対応シーンに多くの尺が当てられており、だからこそオランダ語が全くできないにもかかわらず、ドラマ版よりも相棒感があるのだ。
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原作では良沢が主君に会う前に同僚たちから蔑まれているコマがあり、褒められるのはまさかの展開なのだが、ドラマ版は唐突に会ってしまっているので感動が少ない。
蘭学事始2.png
感動といえば、完成のシーンは泣けた。
原作では3人で喜んでいるのだが、ドラマ版は玄白の姿がない。「一度決裂した二人が長い年月をかけて和解する」という安っぽい脚色がされているためだ。原作では決裂した後も二人はちょこちょこ会っていて、面白いエピソードが満載なのだが、それらを全てなかったことにするというのは正直どうなのかなと思う。
蘭学事始1.png
一番疑問に思ったのは、主演二人の配役が逆じゃね?ということだ。新納慎也って真田丸の秀次役はとても良かったけども、ちょっと浮世離れした顔だ。神経質そう。バットマンでジョーカー役とかできそう。片岡愛之助の方がニコニコしていて世間知がありそうに見えるのは俺だけだろうか。つくづく、真田丸の幸村信之コンビで見たかった。高山彦九郎役が高嶋政伸だったのは適役すぎて笑っちゃったけども。


ところで、告知番組でみなもと太郎の書庫が写されてたんですけども、貴重そうな本がいっぱい。電子化したいなーとつい思ってしまいましたが、自分の書庫ですら電子化が追いついていない、増える一方なのでやっぱり無理か。みなもと先生もかなり高齢で、「風雲児たち」がちゃんと完結できるのか今から不安ですが、アレらの本も先生の死後どこへ行くんだろうと、いらぬ心配をしています。
風雲児たち~蘭学革命篇~

風雲児たち~蘭学革命篇~

  • 作者: みなもと太郎
  • 出版社/メーカー: リイド社
  • 発売日: 2017/12/11
  • メディア: コミック



風雲児たち 幕末編 30 (SPコミックス)

風雲児たち 幕末編 30 (SPコミックス)

  • 作者: みなもと太郎
  • 出版社/メーカー: リイド社
  • 発売日: 2018/02/27
  • メディア: コミック



蘭学事始ぴあ (ぴあMOOK)

蘭学事始ぴあ (ぴあMOOK)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: ぴあ
  • 発売日: 2017/12/15
  • メディア: ムック



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