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今年の流行語になった「孫策」。彼と一騎打ちした太史慈は実は腹黒かった! [歴史漫画]

前回、建安マエストロがあまりにも良かったので、同じ中島三千恒の「赤壁ストライブ」を購入。あまり面白くはなかったが。その中の太史慈の描写がこれまでのイメージとまるで違うので気になった。赤壁ストライブでは、混乱に乗じて成り上がろうとして失敗。死ぬ際には「皇帝になれなくて無念」とか言い残して顰蹙を買っている。調べてみると、これが史実だという。
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ちなみに死んだのも赤壁前。
横山光輝三国志では赤壁後に張遼の計略がえしをくらい戦死しているが、史実では病没なんだそうだ。よく考えると、初登場は孫策と一騎打ち(史実だそう)するなど華々しかったが、その後活躍した姿を見てないような気もする。
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意外と実態のない武将なのかなと調べて見たが、「客将」という説がしっくりくる。つまりかつて曹操や袁紹の配下にいた劉備みたいなもの。孫策と対決する以前からすでに名を成した人だったようで、曹操にスカウトされたこともある。それを断ったのも、大企業で飼い殺しされるよりも若い企業で一発逆転を狙いたいという心情があったのではないか。

横山三国志同様に蒼天航路でも太史慈は上司に不当な扱いを受けつつも忠義を貫く男として描かれているが、蒼天航路では「有名な人物評論家から太史慈は腹黒いから気をつけろと言われてる」みたいなシーンもある。史実通りだが蒼天航路では回収されない伏線になっている。
太史慈1.png
ちなみに太史慈腹黒説を唱えた評論家は、曹操に「乱世の奸雄」という名フレーズを与えた許劭。三国志演義では橋玄という人物と合成され、蒼天航路はそれを踏襲しているので、その辺を知っているとグニャグニャしたデティールになっている。
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赤壁ストライブ (MFコミックス フラッパーシリーズ)

赤壁ストライブ (MFコミックス フラッパーシリーズ)

  • 作者: 中島 三千恒
  • 出版社/メーカー: メディアファクトリー
  • 発売日: 2008/10/23
  • メディア: コミック



ケトルVOL.37

ケトルVOL.37

  • 作者: 横山光輝
  • 出版社/メーカー: 太田出版
  • 発売日: 2017/06/15
  • メディア: 大型本



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この2巻が発売されなかった漫画がすごい賞を受賞!中島三千恒の「建安マエストロ」 [歴史漫画]

建安マエストロ!」という漫画が面白かった。
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三国志の曹操の息子で、のちに後継者争いをする秀才の兄・曹丕と、天才の弟・曹植が主人公。二人とも芸術家の才能があったため、遺産相続で揉める話にも関わらずあまり醜い争いにならないのが特徴だと思う。

マエストロ2.png
曹植はのちに「鶏肋」で殺される楊修を。曹丕は「これは孔明の罠だ」という名言を残した司馬懿仲達をそれぞれブレーンに迎え、直接対決へのカウントダウンが加速していく。
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単行本が発売されたのは2010年。
巻末には2巻の予告まであるのだが、実際に発売はされなかったらしい。1巻が売れなかったのだろう。ガンダム専門漫画雑誌、ガンダムエースの単行本は結構売れてるように思うが、歴史系漫画雑誌が今ひとつ流行らないのはなんでだろうなあという疑問がある。宣伝の仕方が悪いのではなかろうか。この建安マエストロも最近知ったし。
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これを描いた中島三千恒は今何を描いてるのかなと検索すると、前から読みたいなと思っていた「軍靴のバルツァー」を描いていた人だった。売れてるじゃん。よかった。バルツァーもそのうち読もう。

曹丕といえば、于禁命乞いの図を描いて、命からがら帰ってきた本人に見せびらかせて死に追い込むというような事もしてましたが、それをどう漫画化するのか読んでみたかったなあ。もう一つ、作中で取り上げられる詩の良さが今ひとつ伝わってこないのも惜しい。

 

魏志 文帝紀 建安マエストロ! 1 (MFコミックス フラッパーシリーズ)

魏志 文帝紀 建安マエストロ! 1 (MFコミックス フラッパーシリーズ)

  • 作者: 中島 三千恒
  • 出版社/メーカー: メディアファクトリー
  • 発売日: 2010/02/23
  • メディア: コミック


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二人の素朴なオジさんが栃木弁で三国志愛を叫ぶ。消えた「天水ソフトウェア」とは何か? [歴史漫画]

大澤良貴の「ゲーム雑誌のカラクリ」を読んでいたら気になる記事があった。
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「素朴きわまりなく」
 ここまで情報が発達した今となっては、こういう事も無くなっていくのでしょうが、ゲームそのものではなくゲームメーカーを発掘するような事が、筆者がいた時代にはあったりしました。

 とある三国志ゲームがありました。画面は地味でとても目立たなそうなゲームでしたが、見逃すわけにはいきません。当時、三国志の記事を担当していた者として、三国志に関するものならなんでも目を通さねばすまなかった筆者は、さっそくそのメーカーに問い合わせを入れたのでした。

 なんとそのメーカーは、たった二人の三国志好きなオジさんたちが始めたソフトハウスで、『ログイン』から電話がかかってきただけでびっくりしてくれました。

 そのままそのメーカーの担当となった筆者ですが、栃木弁でとつとつと話してくれるという、ゲーム業界では見かけないような素朴さにすっかり好意を持った筆者は、記事を取ったり自分の担当したページで好意的に取り上げた者でした。

 2分の1ページの記事を書いただけで喜んでくれたり、社長が中国旅行へ行ったお土産を送ってくれたりと、なんとも言えない殺伐としたゲーム業界では珍しいほのぼのとしたおつきあいをしていたものです。ちなみに、これでも職権濫用なんですかねぇ(笑)。
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なんか聞いた事があるなあと調べてみた。
すると出てきたのは「天水ソフトウェア」という会社。
1993年ごろ、「私説三国志」というゲームを発売していて所在地が栃木。
間違いない。
 
他に、天水ソフトウェアは「私説戦国時代」を発売。
1997年に続編の「後漢志」を最後に活動が無いようだが、会社データーベースみたいなものによると、2015年に登録情報の更新がされている。どういう事なのだろうか。
 
天水2.png 

この会社のゲームに関するネットの情報はとても少ないが、好意的な感想ばかりだ。
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知られざる超名作っ!(思い入れありまくり^^)。君主に限らず,誰でもなれ,隠棲,放浪,裏切り,独立,忠臣,なんでも自由な生き方ができ,役職も任命されたり,勝手に名乗ったり出来ます!画面は派手でないですし,操作性は悪いし,パンフレットも粗末ですが,ゲーム内容は大手に劣らず,極めて優れた作品だと思います.
 従来の歴史シュミレーションが,所詮は決まった生き方しかできないことに不満を持っている人は是非お薦めです!武将の顔を作ったりする自由もあります。
http://www2g.biglobe.ne.jp/~stakasa/china/zaza/chigame-j.html#sishuo
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7 :うひょのふ:2009/02/13(金) 11:58:39 ID:53bNUmla
Loginか何かのゲーム雑誌の最後のほぉ~に
白黒の広告入れてたよね
(明らかに個人ちw)資料請求したら
膨大なマニュアルそのままを送ってくれて恐縮した
https://schiphol.5ch.net/test/read.cgi/gamehis/1234258290/
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ちなみに所在地を検索すると、Googleストリートビューに古い民家が映る。
広告は↓コレですね。
天水3.png
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大昔のパソコンゲームに、天水ソフトウェアの「私説三国志」というSLGがありました。
全武将でプレイできるということでワクワクしながらプレイ開始したのですが、操作性に難があり(マウスが使えず、キーボードで煩雑な操作を強いられる)、画面はテキストと数値ばかりで、プレイを続けるのは耐え難いものがありました。
アンケートはがきにそれについて意見を書いて送ったところ、なんと、開発者から直筆の手書きの手紙が届いたのですよね。内容は、指摘については、わかっているんですけどね…みたいな感じでした。
私は返事を貰えたことがとても嬉しくて、今でも記憶に残っています。 そして、自分もその方と同じであろうと務めているつもりです。
http://blog.keitai-game.main.jp/?eid=468
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↑三国志アプリを配信している方のようです。
ええ話や。

 
大きなゲームメーカーですら人知れず無くなったりしている。
栃木の小さな会社のことを覚えている人がどれくらいいるのだろう。
いずれ誰かがまとめてくれたらいいのだが。

 

ゲーム雑誌のカラクリ

ゲーム雑誌のカラクリ

  • 作者: 大沢 良貴
  • 出版社/メーカー: キルタイムコミュニケーション
  • 発売日: 2000/03
  • メディア: 単行本



ゲーム雑誌のカラクリ〈2〉

ゲーム雑誌のカラクリ〈2〉

  • 作者: 大沢 良貴
  • 出版社/メーカー: キルタイムコミュニケーション
  • 発売日: 2001/02
  • メディア: 単行本



タグ:Login 三国志
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空前の大澤良貴ブーム到来?北方謙三も読んだ「三国志新聞」 [歴史漫画]

最近、大澤良貴ブームだ。
その昔、「ログイン」というPCゲーム雑誌があって、大澤氏はその編集者。三国志正史のパイオニアであるらしい。。。と最近知った。

ログイン」はファミ通の元となった雑誌で、やはり読み物として面白かった。一時期は、発売されているゲームの総本数を上回る発行部数だったこともあるそうだ。自分もPCゲームは10本も遊んだことがないのに毎月買っていたわけだから、そういうありふれた読者の一人だったのだろう。
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ログインの充実した読み物の中に「三国志」などの歴史系記事の連載があった。もちろん「光栄」の歴史シミュレーションゲーム由来の企画である。一番印象深いのは「その後の韓玄ご機嫌いかが?」という三国志2のリプレイ記事。横山光輝三国志で黄忠や魏延が仲間になるくだりに出てくる小物を選んで天下統一を狙うあたりチョイスが素晴らしい。
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横山光輝「三国志」28巻に登場する韓玄)

自分が読んでいた時期は比較的初期にあたるのか、あまり大澤氏に関しては記憶がない。ログインではファミ通ほど編集者のキャラが前に出ていないということもあるかもしれないが。大澤氏はこの連載を引き継ぎ、正史に重点を置くことで反響を呼んだそうだ。このことは、のちに大作家、北方謙三にまで影響を与えたというからすごい。

大澤氏が1996年に手がけた「三国志新聞」という本があるというので購入してみた。三国志の内容を、新聞風にまとめたものだ。読み応えがある。
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仕事の休憩中に、iPadで新聞読んでる風にカモフラージュできるかなと思いながら読んでいたら、女の子から「三国志知ってますよ!お兄ちゃんのPS2のゲームで遊んでいました!」と話を振られた。微妙に話が噛み合わないのでよくよく聞くと、同じ光栄のゲームでも「三國無双」であるそうだから時代である。

大澤氏のログイン時代を振り返った本があると聞き、「ゲーム雑誌のカラクリ」という本も購入。驚いたのが、三国志正史の知識が付け焼き刃だったということだ。当時は正史の資料が少なかったとは聞いていたが、大澤氏はそこをブルーオーシャンだとして必死に勉強したらしい。

続いて「ゲーム雑誌のカラクリ2」も購入。ちなみにちょっと前に購入した「三国時代スペシャル」と「三国志に聞け!」も大澤氏が関わっているので、うちにある大澤氏の本は5冊になっていた。氏のある本を読んでいたら、俺が昔一緒に飲んだことのある人がログインに関わっていたと知って驚いた。詳しい話を聞けたかもしれないと思うとちょっと残念である。

ちなみに、昔一緒に旅行に行った人がファミコン神拳に関わっていたと後で知ったということも最近あった。どこでどんな人と会っているか、わからんもんである。


三国志新聞

三国志新聞

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 日本文芸社
  • 発売日: 1996/03
  • メディア: 単行本




ゲーム雑誌のカラクリ

ゲーム雑誌のカラクリ

  • 作者: 大沢 良貴
  • 出版社/メーカー: キルタイムコミュニケーション
  • 発売日: 2000/03
  • メディア: 単行本


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栄光なき天才三国志まんが、柴田英樹の「禰衡咆哮(でいこうほうこう)」 [歴史漫画]

あまり記憶が定かでないけどもその昔、三国志専門漫画誌があって、その中の「禰衡咆哮(でいこうほうこう)」という漫画がすごく印象に残っていた。
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人魚の肉を食べたことで不死になった論客が、あちこちの英雄に喧嘩を売りまくり、暗殺しまくるという不思議な話。郭嘉や周瑜はこの漫画では禰衡の刺客に殺されたことになっている。
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そもそも「禰衡」って誰?って話である。最近になって調べてみたが、頭は良いけど毒舌家で変人。曹操が熱心に召抱えようとするが断固拒否。素っ裸になって太鼓を叩いて追放されるというのが人生のクライマックスというよくわからない人物だ。
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この漫画は「三国志に聞け!英雄の肖像編」という単行本に収録されている。「ザ・スター」の島崎譲などの短編も収録。柴田英樹作品は他にも二作品収録されている。才気を感じた作家だったが、その後どうしているかはとんと耳に入ってこない。
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三国志に聞け! 英雄の肖像編 (MF文庫 9-6)

三国志に聞け! 英雄の肖像編 (MF文庫 9-6)

  • 作者: コミック三国志マガジン編集部
  • 出版社/メーカー: メディアファクトリー
  • 発売日: 2007/08/01
  • メディア: 文庫



タグ:三国志
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「ば〜っかじゃねえの!?」ファンにオススメの一冊?「歴史系倉庫世界史の問題児(クズ)たち」 [歴史漫画]

歴史系倉庫 世界史の問題児(クズ)たち」を買った。
世界史の偉人のクズエピソードを4コマにしているサイトの単行本化だそうだ。
タイトルは「風雲児たち」に引っ掛けているのだろうか、ひょっとして。

世界史は詳しくないのだが、この4コマの中になんか既視感あるエピソードがあるなあと思ったら、ネットで大ブームを起こしたワンカット、「ば〜〜〜〜〜っかじゃねえの!?」の話だった。
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「ば〜〜〜〜〜っかじゃねえの!?」は岩明均の「ヒストリエ」からの一コマ。
王様の嫌がらせで息子の肉を食わされたと分かっても耐えた将軍ハルパゴスが、いざ反旗をひるがえす瞬間の絵だ。

ヒストリエでは王様がなぜそんな振る舞いをしたか、若い頃に蛮族に友人を料理されちゃったトラウマを説明してたけども、「問題児たち」ではハルパゴスがなぜ王様から嫌がらせされたのかを描いている。
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ところでこの王様、その後どうなったか検索して調べて見ると、処刑されたとかされなかったとか一致しない。「問題児たち」では処刑されたとある。「ヒストリエ」ではよく読むとその末路がはっきりと描かれていない。どういうことだ。

 
 
歴史系倉庫 世界史の問題児たち

歴史系倉庫 世界史の問題児たち

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2016/09/21
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



ヒストリエ コミック 1-10巻セット (アフタヌーンKC)

ヒストリエ コミック 1-10巻セット (アフタヌーンKC)

  • 作者: 岩明均
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/03/23
  • メディア: コミック



タグ:岩明均
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帰ってきた真田丸?超傑作漫画、みなもと太郎の「風雲児たち」がドラマ化決定! [歴史漫画]

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ついに「風雲児たち」が実写ドラマ化されるらしい。
脚本は作者のみなもと太郎を愛してやまない三谷幸喜制作はNHKで正月に放送。
新撰組の時の様に真田丸のスペシャル版が作られるのかと思いきや、こういう展開になった。作品を代表すると言っても過言でない大傑作、解体新書編を扱う様だ。
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江戸時代の学者、医者達が「フルヘッヘンド」のエピソードで一般知られる辞書なしの翻訳に挑むお話。苦労はそこだけではなく、当時の政治的背景などもクリアしていかなければならない二人、頑固な職人気質の前野良沢と、世渡り上手な杉田玄白の性格のコントラストがたまらなく面白い。
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キャストも真田丸と被っており、前野良沢が大谷刑部役だった片岡愛之助、杉田玄白が羽柴秀次役の新納慎也、平賀源内に石田三成役の山本耕史、田沼意次は真田昌幸役だった草刈正雄。イメージ的には良沢と玄白の配役が逆の様な気がする。杉田玄白は堺雅人で見たかったなあ。まあ、その辺は三谷幸喜なので何かあるのだろう。
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ドラマの放送をきっかけに、この漫画がもっともっと売れるといいなあと思う。


風雲児たち全20巻 完結セット (SPコミックス)

風雲児たち全20巻 完結セット (SPコミックス)

  • 作者: みなもと 太郎
  • 出版社/メーカー: リイド社
  • 発売日: 2010/11/01
  • メディア: コミック



風雲児たち 幕末編 29 (SPコミックス)

風雲児たち 幕末編 29 (SPコミックス)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: リイド社
  • 発売日: 2017/05/29
  • メディア: コミック



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本人も知らないであろう松方弘樹主演漫画、みなもと太郎「波闘」!傑作の裏に隠された歴史の真実とは!? [歴史漫画]

松方弘樹が亡くなった。
松方弘樹といえば思い出すのは石ノ森章太郎の漫画が原作のTVドラマ「HOTEL」だが、もう一つあまり知られていない名作がある。それがみなもと太郎が描いた「波闘」だ。河川環境管理財団依頼による、史実・宝暦治水のコミカライズ。公開後は氏の代表作であり歴史漫画の傑作「風雲児たち」本編に組み込まれた。ワイド版を最初から読み始めると、読みにくい下手な絵がいきなり達者になっているので戸惑うのだが、読めば必ず愛読者になること間違いなしの傑作だ。話が若干逸れたが、主人公の薩摩藩家老、平田靱負(ひらたゆきえ)のモデルが松方弘樹なのだ。
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家来が強くなり過ぎないよう作ったシステムが参勤交代であることは知っていると思う。あれでお金をたくさん使わせて、経済的に疲弊させるのだ。宝暦四年(1754年)、幕府は木曽三川の治水工事を薩摩藩に命令。九州から愛知まで、ゾロゾロと人を派遣して工事をさせる。大変な費用がかかるが、もちろん薩摩藩の自腹。しかも幕府の決めた、嫌がらせとしか思えない決まりを守ってやらなければならない。
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あまりの過酷さに抗議の切腹をする薩摩武士も。
しかし抗議などタブーである。切腹は闇に葬られる。お上のやり方はあまりにも酷いと、幕府の役人まで切腹する始末。しかし幕府は最後の最後まで薩摩をいじめ抜く。最後には家老平田靱負が自らの命と引き換えに、難工事を終了させると言うお話。話の性質上、記録に残すことは憚られ、土地の人によって口伝で伝えられた。。。これらの業績を埋れさせるわけには行かない!と言う運動は明治時代からあったそうで、みなもと太郎に漫画を依頼されたののもそういう経緯だそうだ。
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ところがである、この話、ちょっとでティールがおかしいんじゃないかという話が、そういう運動に参加している中心的な人物から出ているそうなのだ。去年、読売新聞で10回にわたる検証コラムが連載された。不振のきっかけになったのは、公式な記録に残されている平田靱負の死因が病死だったということだそうだ。幕府に抗議と取られないように。。。という話があったが、切腹した薩摩藩士の中に同姓の者があり、それと混同されたのが広まってしまったそうなのである。
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他にも細かい違いは実際の記事を見てもらうとしてだ。なかなか「風雲児たち」のファンとしてはショックである。まあ、歴史ってものはそんなもんだけどねー。「正史」と「演義」みたいに受け止めれば良いのではないだろうか。時が流れれば、「演義」が「正史」となるような新発見もあるかもしれないし。
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60過ぎた母の就寝前の枕元に、風雲児たち幕末編の新刊が置いてあったので、このことを話してみると「知らない。」「読んでない。」とのこと。そんなはずはなかろうと詰めてみたが、初期は絵が読みにくくて読んでなかったとのこと。確かに風雲児たちの初期は辛い。しかし宝暦治水&解体新書のエピソードからいきなり歴史的傑作になるので、ぜひあのハードルを飛び越えて、たくさんの人に読んで欲しいなあと思うのだが。
風雲児たち全20巻 完結セット (SPコミックス)

風雲児たち全20巻 完結セット (SPコミックス)

  • 作者: みなもと 太郎
  • 出版社/メーカー: リイド社
  • 発売日: 2010/11/01
  • メディア: コミック



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斎藤一ファンは必読!忘れた頃にやってくる漫画界の良心、ながやす巧の「壬生義士伝」6巻! [歴史漫画]

忘れた頃にやってくる。
漫画界の良心の一人、ながやす巧コミカライズの「壬生義士伝」の6巻が出ていた。

最近のコミック乱のみなもと太郎「風雲児たち幕末編」の剣術描写もなかなかすごいが、壬生義士伝もやはりすごい。油小路の変の心理描写をあれこれ描いている。鎖帷子(くさりかたびら)には突きしかない。ただし突きは死に太刀。るろうに剣心の九頭龍閃もびっくりな豆知識を得たい人はすぐさま書店にGO!だ。
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6巻の見所は龍馬暗殺。
その犯人は斎藤一だった?
油小路の変と龍馬暗殺は繋がっていて、不本意ながら刺客となってしまった斎藤の心理描写、犯行中の緊張感ある息遣いが伝わってくるコマ運び。斎藤一ファンなら必見である。西南戦争で大暴れする斎藤一も読めるぞ!
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壬生義士伝 6 (画楽コミックス愛蔵版コミックス)

壬生義士伝 6 (画楽コミックス愛蔵版コミックス)

  • 作者: ながやす 巧
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2016/12/16
  • メディア: コミック



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小松姫と修羅場になった小野於通とは何なのか?もう少しサンプルが読んで見たい大和和紀の「イシュタルの娘」 [歴史漫画]

真田丸関連で調べていたら、八木亜希子演じる小野お通の記述が気になった。

大泉洋演じる真田信之がメロメロになり、小松姫にバレて修羅場となるが、「お代払ってさっさと帰るどすえ〜。」と飲み屋のママ的な本性をみせたキャラである。正直、なんでこのエピソードが必要なのか、よく分からない。後半、信之の出番が少なくなるから作られたにしてもである。

この小野お通は実在して、信之が惚れ込んだというのも史実通りであるそうだ。小松姫が側室にするように勧めたという話もあるらしいが、結局どうなったのかはハッキリしないとか。

なんと彼女を主人公にした漫画もあった。
タイトルは『イシュタルの娘〜小野於通伝〜』
講談社の『BE・LOVE』誌で不定期連載中で、もう14巻にもなっている。

Amazonのなか見検索や、Kindle版のサンプルで中身を確かめてみたが、PRに力を入れてない漫画にありがちな、「最初の5Pぐらい見せとけばいいだろ」→「目次や中表紙までしか読めない」という有様。せめて1話分ぐらいは読ませてくれよと思う。特に少女漫画なので、購入は慎重になってしまう。
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小野お通は、吉川英治の宮本武蔵のヒロインのモデルという説もあるとか。
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(画像は石ノ森章太郎「仮面ライダーBLack」)





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