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スピンオフの続編希望!真田丸最終回の最後に名前が出る佐久間象山が読めるみなもと太郎の「風雲児たち」 [歴史漫画]

真田丸がついに最終回を迎えた。
幸村の最期はぼかすという予想は当たっていた。
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最後の最後で佐久間象山の名前が出てきたのはズッコケた。
二百年後に真田が徳川を倒した、という構成にしたわけである。
強引だが、さすがみなもと太郎好きの三谷幸喜である。
八代目松代藩藩主、真田幸貫が幕末の傑物の佐久間象山を見出したエピソードは以前書いた。

関連過去記事:「真田丸の250年後が読めるみなもと太郎の「風雲児たち」

佐久間象山漫画の決定版といえば、やはりみなもと太郎の「風雲児たち」だ。
坂本龍馬の偉大さを説明するために関ヶ原の戦いから始まり、20年以上かけて連載を続け、まだそこにたどり着いていないという、話が長すぎるマニアック歴史巨編である。雑誌の休刊などもあり、高野長英の死を以って一度区切りとなり、新たに「幕末編」として現在も連載中だ。
象山2.png
佐久間象山が初登場するのは愛蔵版の17巻。本格的に活躍が始まるのは19巻だ。濃いキャラクターの多いこの傑作の中でもトップクラスの存在感である。佐久間象山は幕末歴史漫画でおなじみの存在ではあるが、なんか頭の良い人らしいというボンヤリとしたイメージを伝えるだけの漫画がほとんど。こんなに面白い人物だったのかと「風雲児たち」を読んで驚いた。是非、真田丸の前作である「新選組!」が土方歳三スピンオフを実現した様に、「真田丸」でも象山スピンオフが見てみたいものだ。
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(「お〜い!竜馬」に登場する佐久間象山暗殺シーン。斬った河上彦斎は「るろうに剣心」の主人公のモデルである)


風雲児たち全20巻 完結セット (SPコミックス)

風雲児たち全20巻 完結セット (SPコミックス)

  • 作者: みなもと 太郎
  • 出版社/メーカー: リイド社
  • 発売日: 2010/11/01
  • メディア: コミック



風雲児たち 幕末編 コミック 1-24巻セット (SPコミックス)

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  • 作者: みなもと太郎
  • 出版社/メーカー: リイド社
  • 発売日: 2014/07/28
  • メディア: コミック



昌幸は病人!信之もドン引きする横山光輝の「徳川家康」 [歴史漫画]

「猫が鼠をいたぶるように」というのはみなもと太郎の徳川家康評。その家康をひたすら「良いように」描いて従来の悪いイメージを変えたのが山岡正八の小説、「徳川家康」であるらしい。横山光輝によってコミカライズされている。単行本全26巻と長編だ(1巻は1982年刊行)。所有している文庫版はそれを8冊にまとめていて、読みづらいことこの上ないので、最近になって読み返すために電子化した。

読みにくいのは分厚さだけではない。子供の頃はどうしても面白いと思えず、通読を挫折していた。大人になって読み返し、理由がわかった。忍耐の期間が長くて作風が暗いというのもあるが、主人公の家康が主人公としてあまり立ってないのだ。横山光輝といえば三国志。その作品での初期の劉備玄徳の少年漫画用の清廉潔白なキャラ付けはやりすぎ感もあるが、徳川家康を読むとそれぐらいは必要だったのかもしれないと思いなおした。
家康7c.png
さて、子供の頃は通読できなかった「徳川家康」だが、信繁(幸村)が出てくるとこだけはしっかり読んでいた。晩年のボスキャラの一人として、かなり扱いはでかい。子供の頃は記憶になかったが、昌幸の扱いが酷すぎて笑える。「真田丸」の昌幸像と近い。
(以下引用)
-----------------------------------
「このまま幸村どのが大阪に入城なさればご兄弟また血で血を洗わねばなりませぬぞ。」

「だがら弟、幸村に手紙を出したのじゃ」

「たしかに出しました。ところが幸村どのは封も開かずに突き返したからといってあとに何もせずにいるとは、これはどういう事でござります。」

「叔父御は自分の兄であるそれがしの父を知らぬからそのように申されるのじゃ。」

「これはしたり。自分の兄の事をどうして知らぬといわれる。」

「父上はのう、武田信玄公の六人小姓の随一であった。」

「仰せまでもない。側小姓では抜群。これこそまさに麒麟児ぞと信玄公に度々舌をまかせたお方じゃ。」

「その事よ。お父上は偉すぎた。父上はその後戦い続け、戦えば必ず勝った。しかしその勝利が父上を誤らせたのだといえぬこともない。大御所にいわせるとお父上は兵学兵法の鬼であったが同時に病人でもあったと…。

「なんと兄が病人だったと!」
家康7a.png
「さよう天下にこの病人は三人あったそうな。その一人は黒田如水。もう一人は伊達政宗。そしてわしの父じゃ。」

「戦上手がどうして病人でござる。」

「天下は常に乱あるものゆえその主になりたい。…つまり天下取り病の三峰じゃとな。」

「それと九度山の幸村どのの口説きとなんのかかわりがございます。」

弟の幸村はその父の理想の子なのじゃわかるか叔父御…。父はのう関ヶ原の折になぜ西軍に味方されたと思う。」

「それは西軍にご懇意の方々が多かったためその義理を果たさんため…。」

「そうではないのだ。人の世は戦乱が常態で泰平はその間にわずかに点々と置かれてゆく休息の場。そういう根強い現世の見方に根ざしている。泰平など決して十年も続くものではない。したがって人の一生は戦争に賭けるべきだとの信念で関ヶ原の合戦を七分三分に見られたのじゃ。」

「七分三分…といわれると西軍の勝利が七分と…?」

「いや西軍の勝利は三分じゃ。七分の方に賭けて勝ってもせいぜいこの信之の十万石に一、二万石が加わるだけであろう。ところがもし西軍が勝った時どうなる。主謀者の石田も大谷もお父上にとってはみな弟子同様の人物。あわよくば天下を取るか取れなくても百万石の大大名にはなれる。
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「すると兄はそこまで考えて」

「そうじゃ。お父上は笑ってそう仰せられた。わしはその時、ゾーッとした。これは生き方の相違だと。」
-----------------------------------------

昌幸は「徳川家康」には登場しないが、「武田信玄」の後半に登場。「武田勝頼」では大活躍している。
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徳川家康 [コミック/画:横山光輝] コミック 1-8巻セット (講談社漫画文庫)

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  • 作者: 横山 光輝
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1997/04/10
  • メディア: 文庫



武田信玄 (講談社漫画文庫) 【コミックセット】

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  • 作者: 横山 光輝
  • 出版社/メーカー:
  • メディア: コミック



武田勝頼(新田次郎) コミック 1-3巻セット (講談社漫画文庫)

武田勝頼(新田次郎) コミック 1-3巻セット (講談社漫画文庫)

  • 作者: 横山 光輝
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1999/02/09
  • メディア: 文庫



天下分け目の戦さ場に炸裂するノリツッコミ!原哲男の「影武者徳川家康」 [歴史漫画]

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「おのれ金吾め!人面獣心なり。三年の間に祟りをなさん!」
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真田丸でカットされた関ヶ原の戦い。大谷刑部の見せ場である、小早川秀秋へのメンチ切りを漫画で読むなら「影武者徳川家康」がオススメだ。「花の慶次」のヒットの後に原哲男が2度挑戦し、2度打ち切られたという怪作だ。まあイケメン徳川家康からも分かるように、少年漫画では無理があるテーマだったと思う。でもなかなか面白いのだ。リアルタイムで読んでいて、この一コマがすごいインパクトがあった大谷吉継。ハンセン病ゆえに布で顔を隠していたイメージが一般的だが、後世の創作の可能性もあるようだ。
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石田三成になって関ヶ原の戦いの勝利を目指すゲーム「采配のゆくえ」では、大谷は孔明タイプの美形になっていた。逆転裁判のパクリのようなゲームだったが、これもなかなか面白かった。ちなみに上のイラストのセリフの元ネタは、前回紹介したみなもと太郎の「風雲児たち」と思われる。
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小早川秀秋と、家老の平岡頼勝との漫才も面白い。北斗の拳といい、原哲男の真骨頂はここにある。ちなみにこの平岡さん、秀秋亡き後は家康に登用されて、まあいい人生だったようだ。
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影武者 徳川家康 全6巻完結 [マーケットプレイス コミックセット]

影武者 徳川家康 全6巻完結 [マーケットプレイス コミックセット]

  • 作者: 原 哲夫
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • メディア: コミック






関ヶ原の戦いは終わったけど俺たちの戦いはこれからだ!幕末漫画「風雲児たち」を読め! [歴史漫画]

「長丁場になると思いきや半日で終わった」でお馴染みの関ヶ原の戦い。先日の「真田丸」では戦闘シーンもなく終わってしまった。お金かかるからなあ。
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さて、関ヶ原の戦いでは何が起こっていたのか。小早川秀秋の裏切りは有名で、「真田丸」でも取り上げられていた。ドラマでは触れられていなかったが、毛利が密かに徳川と裏取引していたというエピソードがなかなか面白いと思う。その辺が漫画で読めるのが、みなもと太郎の「風雲児たち」だ。
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西軍(三成側)の総大将、毛利の分家の吉川広家が家康と内通し、戦闘に参加できないよう工作をしていたのだ。結局、布陣の段階では圧倒的有利と思われた西軍だったが、小早川、吉川の裏切りが決め手となり、戦いは家康の勝利となった。主君のためを思って家康と内通した吉川だったが、家康は吉川のみ評価し、毛利家を潰そうとする。結局大幅に領地を失って存続ということで落ち着くのだが。

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東軍に味方した方が賢い、先見の明があると思ってしまうのは歴史を学んで結果を大筋で知っているからこそである。しかしこうしてみると、意外と家康にとっても関ヶ原に続く東征は大博打であったと思う。小早川が裏切らず、毛利が動いていたら、その後の歴史はどうなっていたであろう。
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この関ヶ原の戦いを冒頭に持ってきた「風雲児たち」は幕末、明治維新がテーマの漫画である。前述の毛利、東軍にトラウマを残した退却戦をした島津、そして長曾我部と、幕末の薩長土佐の台頭にどう繋がるかを描く漫画だ。みなもと太郎は「アオイホノオ」でも取り上げられている漫画家。この連載は1979年に始まり、現在まで続いている。「真田丸」の脚本家、三谷幸喜も影響を受けているので、若い人にも是非読んでほしい。歴史漫画でこれ以上のものはなかなか無いと思う。

真田丸で取り上げられた韓信を漫画で読もう! [歴史漫画]

真田丸で韓信の背水の陣が取り上げられた。

背水の陣とは、「自ら不利な状況に追い込むことで力を引き出す」と語られるのが一般的。しかし実際にこの作戦で名を知らしめた韓信の狙いはそれだけでなく、不利な地形に布陣したことで相手を油断させおびき寄せ、奇襲を成功させることにあった。。。〜という様なことがドラマでは語られている。

ところで韓信とはどんな人物なのだろう。
三国志の劉備の先祖(?)、劉邦の中国統一に尽力した戦争の天才。どこでそんな能力を身につけたのかが謎。世渡り下手で、見た目で損をするエピソードが多いことから軍事オタクな人物だったのだろうと思われる。若い頃、街で不良に絡まれ、相手の股の下をくぐって命乞いしたことで有名に。その辺を漫画で一番エモーショナルに描写したのが本宮ひろ志の「赤龍王」。
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韓信の能力はわかる人にはわかった様で、天下二分の争いを繰り広げた項羽、劉邦の両陣営の軍師は早くから韓信を重く用いる様に進言していたという。結局、人任せが得意な劉邦が、韓信の才能を開花することが出来た。以来、韓信はこの時代のスーパースターとなる。この辺の描写は漫画では横山光輝の「項羽と劉邦」がオススメだ。
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やはり韓信は軍事オタク的な人物だったのだろうか。世渡りが下手すぎた。韓信の存在は天下二分の争いを三分にしてしまうほどだったが、本人に天下を獲る欲がなかった。「すばしっこいウサギが死ぬと、猟犬は用済みになって食べられてしまいますよ」」などと忠告するものもいたが韓信は耳を貸さなかった。天下統一した劉邦の劣化ぶりは秀吉以上。三国志であれば、劉備が五虎大将軍を皆殺しにするレベルの粛清をやってのけ、韓信も誅殺されてしまったのである。この辺は横山光輝の「史記」に詳しい。
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真田丸で昌幸が「韓信は馬鹿だ」と場を茶化すシーンがあったがドキリとさせられた。「狡兎死して走狗煮らる」は真田丸の昌幸とは一番縁遠い言葉であろう。




[まとめ買い] 赤龍王

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  • 出版社/メーカー:
  • メディア: Kindle版



項羽と劉邦全12巻漫画文庫 (潮漫画文庫)

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  • 作者: 横山 光輝
  • 出版社/メーカー: 潮出版社
  • 発売日: 2002/11/01
  • メディア: 文庫






キングダムを××巻まで読んだから、君にはこれを読んでほしい森秀樹の「墨攻」 [歴史漫画]

自分が「キングダム」の面白さがよく分からない原因の一つにこの漫画があるのではないか。
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墨攻」(ぼくこう/ぼっこう)。
酒見賢一の小説のコミカライズ版である。作画は5分で読めるシグルイこと「腕~駿河城御前試合~」の森秀樹。脚本は久保田千太郎。単行本全10巻、初版は1992年。漫画版は秦の始皇帝が天下統一を狙う時代が舞台。古代中国に実在したという籠城のスペシャリスト集団、墨家。専守防衛、能力主義、葬式は費用をかけず簡単にというファンキーな思想を持った人達がいたというから中国4000年は侮れない。
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大国に攻められようとしている小城が墨家に助っ人を要請したが、派遣されてきたのは男一人。訝しがる城の人間たち。主人公である墨者、革離(かくり)がやがて城をまとめ上げ、一大攻城戦が始まる。。。という話。
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とにかくリアルである。
まあキングダムとはジャンルが違うかもしれない。「壁」がキーワードになる物語構成は、自分にとって「進撃の巨人」もピンとこなかった原因なのかもしれない。
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リアルタイムで読んでいて、小説版の面白さにはかなわないなあと思っていたのだが、漫画版もかなり良い。後半は漫画オリジナルの展開が始まる。アンディ・ラウ主演の映画版も見に行った。寝てしまったが。



墨攻 (新潮文庫)

墨攻 (新潮文庫)

  • 作者: 酒見 賢一
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1994/06/29
  • メディア: 文庫



墨攻 [DVD]

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  • 出版社/メーカー: アミューズソフトエンタテインメント
  • メディア: DVD



劉備が天下統一してたら関羽張飛孔明は殺されていた?根拠は横山光輝「史記」:その2 [歴史漫画]

劉備とコンパチと言われる劉邦が天下統一した後にやった功臣大粛清。「神ゲーもクリアすると中古屋に売られる」と韓信が言ったとか言わなかったとか。

続きです。

かっこいいジジイだが、最後はお歳暮になった彭越(ほうえつ)
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旗揚げの際に規律を守る事の重要さを説くエピソードがかっこいい彭越。盗賊のスキルを活かしてゲリラ戦法を展開。韓信と並ぶ劉邦サイドの軍人ランキングベスト3に入るキャラクターなんだそうだが、本宮も横山も旗揚げエピソード以外の印象が薄い。
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やはり謀反を疑われたものの、蜀に島流しで済んだ。移動中に劉邦の奥さんに会ったのが運の尽き。田舎に帰りたいと泣きついたが相手が悪かった。流罪では甘いと見ていた劉邦の奥さんは、彭越を劉邦の元に連れて帰り処刑を猛プッシュ。哀れ彭越はバラバラの塩漬けにされて諸国の王にお歳暮にされた。

こう見えて意外と病弱。保健室の猛将、黥布(げいふ)。
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黥布は罪人から王にまでなった猛将。彼が敵側から寝返ったことで勢力のバランスは大きく崩れ、劉邦の天下取りにつながった。韓信、彭越の次は自分だと悟った黥布は反乱を起こす。結局、劉邦軍の物量に負けて死んでしまうが、その戦いの矢傷が元で劉邦は死んだ。

生まれし月日は同じの義兄弟だったが亡命する羽目に盧綰(ろわん)
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横山光輝漫画には一切登場しないが、赤龍王では扱いが大きい。しかし何のためにいるのかよく分からないジャージャー・ビングスの様なキャラクター。劉邦と同い年なのにハゲていて年齢不詳だし。蒼天航路における簡雍的なカウンセラー的相談役ポジションにいたらしい。劉邦の寝室に出入り自由を許されるほどに信頼されていたが、燕王を任されてから運命が狂いだす。反乱の鎮圧を任されたものの、かつての仲間が劉邦に疑われ、粛清されていく世間の空気に負けた。戦争が終わったら用済みになると思った盧綰は敵と密約を交わして戦争を長期化。それがばれて劉邦のデスノートに名前が書かれるハメに。盧綰は亡命した。

空気が読めなかった王陵(おうりょう)
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劉邦が亡くなっても安心できなかった。王陵はかつて劉邦を手下にしたこともあるヤクザの親分。赤龍王では七福神のようなオッサンに描かれているが、横山光輝「項羽と劉邦」では横山三国志の姜維のようなイケメンルーキーに描かれている。しかし横山「史記」ではオッサン化。
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国の乗っ取りを狙う劉邦の奥さんの、「劉邦の遺言守らないとダメだと思う人〜♪」の呼びかけにただ一人手を挙げ、周囲から浮き上がり標的にロックオン。引退に追い込まれた。

「100万の兵を指揮したけど獄吏怖い」の名言を残した周勃(しゅうぼつ)。
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赤龍王では「周勃のバカもいる」だけが登場シーン。旗揚げ前ははたおり職人だったらしいが、軍人のセンスがあったらしい。100万の兵を指揮できたようだが、赤龍王では百姓のオッサンの様に描かれている(本宮ひろ志はこういうセンスが惜しい)。
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劉邦の奥さんの死後、その一族をやっつけて平和を取り戻す。しかしその後、謀反を疑われ拷問にかけられる。やっぱりバカだったらしく、ただし愛されるバカ。それが幸いして助命嘆願されて釈放された。

以上。
まだまだ被害者はいるけども、なにしろ横山も本宮も書いてないのでここで終了。



項羽と劉邦全12巻漫画文庫 (潮漫画文庫)

項羽と劉邦全12巻漫画文庫 (潮漫画文庫)

  • 作者: 横山 光輝
  • 出版社/メーカー: 潮出版社
  • 発売日: 2002/11/01
  • メディア: 文庫



[まとめ買い] 赤龍王

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劉備が天下統一してたら関羽張飛孔明は殺されていた?根拠は横山光輝「史記」:その1 [歴史漫画]

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横山光輝「三国志」で三国志を初体験して、読破した後に多くの人が思うのが、「あれ?劉備が天下統一して終わりじゃないの?」ということ。もし劉備が天下統一していたら、ひょっとしたらもっと後味の悪い話になっていたかもしれない。

横山光輝三国志では品行方正な武人として描かれていた劉備だが、李學仁の「蒼天航路」ではルパン三世の様なお調子者として描かれ、リアリティある新しい劉備像の確立に成功した。そもそも劉備の祖先(?)である劉邦は素直で人情深いだけが取り柄のヤクザの親分なので、ルパン三世風劉備はしっくりとくるのだ。

ところで、劉邦を主役にした漫画の傑作といえば本宮ひろ志「赤龍王」、横山光輝「項羽と劉邦」であるが、この漫画では両方とも劉邦が天下統一した以降のことは軽く触れられているだけである。頭空っぽな劉邦が多くの人材に慕われ、その力を借りて天下統一を成し遂げるという、三国志で求めていたものの得られなかったカタルシスがそこにあるのだが、読後感をよくするために、その後の悲惨な現実が削除されているのだ。その辺は、横山光輝「史記」で漫画化されている。

処刑命令が出された樊噲(はんかい)。
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怪力無双、ヤクザ時代からの舎弟で、義理の弟でもある樊噲。三国志でいえば張飛が近いキャラクターと言えるか。劉邦が項羽にパワハラを受け、処刑されそうになっているところに命を捨てて殴り込みをかける鴻門の会のシーンはトップクラスの名場面である。
史記樊噲.png
ところが天下統一後、劉邦に謀反を疑われ、処刑されそうになっている。仲間が機転を利かせてなんとか死なずに済んではいるが。。。

歴史に残る悲惨な転落人生を歩んだスーパースター韓信。
赤龍王1.png
ヤクザの股をくぐって命乞いをしたニートだったが、いきなり劉邦軍の総指揮官に抜擢されて才能を開花。孔明よりも400年早い天下三分の計をそそのかされるぐらいのスーパースターとなるが、劉邦に遠慮して部下に徹した。劉邦軍の中では張良がよく三国志の孔明に例えられるが、天下取りに重要な存在という役どころで言えば韓信の方が近いかもしれない。
史記13韓信.png
「狡兎死して走狗烹らる(こうとしして、そうくにらる:すばしっこいウサギが死ぬと、猟犬は用済みになって食べられてしまう)」が有名。とにかく有能すぎ、人が良すぎた。劉邦にとっては裏切られたら最も厄介な男である。ダイの大冒険で言えば、大魔王バーンを倒して話が完結したのに冥王龍ウェルザー編が始まってしまうほどのキャラクターだ。しかし韓信本人にはその気は無い。何か落ち度を探されているところに、敗残兵になった友人を匿っていることがバレてしまう。逮捕されたがスーパースターすぎて処刑されず。ほとんどの権限を没収されて降格の身分にされてしまった事に不満を抱く。ようやく謀反したろかいと思った所で再逮捕され処刑。


全てを投げ出して尽くしたが疑われた蕭何(しょうか)。
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蕭何は元役人で劉邦とはヤクザ時代からの付き合い。旗揚げ後は補給などの裏方を担当。頭脳労働の二枚看板という意味では、三国志の龐統的キャラクターと言えるか?秦に攻めこんだ時は金銀財宝に目もくれず、機密書類を収集しまくって建国後の法整備に役立てた。
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天下統一時は軍功第一とされたが、樊噲同様に韓信ファンだったのがまずかったか、劉邦に謀反を疑われ出す。蕭何は一族を前線に送り込み、私財を投げ打って劉邦に尽力するが、劉邦の疑いは止まず。自ら悪代官化して評判を落としめ、なんとか天寿を全うできた。


何せ犠牲者が多いので、一回では書ききれない。
その2に続く。


[まとめ買い] 赤龍王

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  • 出版社/メーカー:
  • メディア: Kindle版



史記 全11巻セット (小学館文庫)

史記 全11巻セット (小学館文庫)

  • 作者: 横山 光輝
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2011/03/01
  • メディア: 文庫


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劉備が天下統一してたら関羽張飛孔明は殺されていた?根拠は横山光輝「史記」:その1 [歴史漫画]

横山光輝「三国志」で三国志を初体験して、読破した後に多くの人が思うのが、「あれ?劉備が天下統一して終わりじゃないの?」ということ。もし劉備が天下統一していたら、ひょっとしたらもっと後味の悪い話になっていたかもしれない。

横山光輝三国志では品行方正な武人として描かれていた劉備だが、李學仁の「蒼天航路」ではルパン三世の様なお調子者として描かれ、リアリティある新しい劉備像の確立に成功した。そもそも劉備の祖先(?)である劉邦は素直で人情深いだけが取り柄のヤクザの親分なので、ルパン三世風劉備はしっくりとくるのだ。

ところで、劉邦を主役にした漫画の傑作といえば本宮ひろ志「赤龍王」、横山光輝「項羽と劉邦」であるが、この漫画では両方とも劉邦が天下統一した以降のことは軽く触れられているだけである。頭空っぽな劉邦が多くの人材に慕われ、その力を借りて天下統一を成し遂げるという、三国志で求めていたものの得られなかったカタルシスがそこにあるのだが、読後感をよくするために、その後の悲惨な現実が削除されているのだ。その辺は、横山光輝「史記」で漫画化されている。

処刑命令が出された樊噲(はんかい)。
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怪力無双、ヤクザ時代からの舎弟で、義理の弟でもある樊噲。三国志でいえば張飛が近いキャラクターと言えるか。劉邦が項羽にパワハラを受け、処刑されそうになっているところに命を捨てて殴り込みをかける鴻門の会のシーンはトップクラスの名場面である。
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ところが天下統一後、劉邦に謀反を疑われ、処刑されそうになっている。仲間が機転を利かせてなんとか死なずに済んではいるが。。。

歴史に残る悲惨な転落人生を歩んだスーパースター韓信。
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ヤクザの股をくぐって命乞いをしたニートだったが、いきなり劉邦軍の総指揮官に抜擢されて才能を開花。孔明よりも400年早い天下三分の計をそそのかされるぐらいのスーパースターとなるが、劉邦に遠慮して部下に徹した。劉邦軍の中では張良がよく三国志の孔明に例えられるが、天下取りに重要な存在という役どころで言えば韓信の方が近いかもしれない。
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「狡兎死して走狗烹らる(こうとしして、そうくにらる:すばしっこいウサギが死ぬと、猟犬は用済みになって食べられてしまう)」が有名。とにかく有能すぎ、人が良すぎた。劉邦にとっては裏切られたら最も厄介な男である。ダイの大冒険で言えば、大魔王バーンを倒して話が完結したのに冥王龍ウェルザー編が始まってしまうほどのキャラクターだ。しかし韓信本人にはその気は無い。何か落ち度を探されているところに、敗残兵になった友人を匿っていることがバレてしまう。逮捕されたがスーパースターすぎて処刑されず。ほとんどの権限を没収されて降格の身分にされてしまった事に不満を抱く。ようやく謀反したろかいと思った所で再逮捕され処刑。


全てを投げ出して尽くしたが疑われた蕭何(しょうか)。
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蕭何は元役人で劉邦とはヤクザ時代からの付き合い。旗揚げ後は補給などの裏方を担当。頭脳労働の二枚看板という意味では、三国志の龐統的キャラクターと言えるか?秦に攻めこんだ時は金銀財宝に目もくれず、機密書類を収集しまくって建国後の法整備に役立てた。
史記13蕭何.png
天下統一時は軍功第一とされたが、樊噲同様に韓信ファンだったのがまずかったか、劉邦に謀反を疑われ出す。蕭何は一族を前線に送り込み、私財を投げ打って劉邦に尽力するが、劉邦の疑いは止まず。自ら悪代官化して評判を落としめ、なんとか天寿を全うできた。


何せ犠牲者が多いので、一回では書ききれない。
その2に続く。


[まとめ買い] 赤龍王

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史記 全11巻セット (小学館文庫)

史記 全11巻セット (小学館文庫)

  • 作者: 横山 光輝
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2011/03/01
  • メディア: 文庫



晩節を汚すとこまでは描かれていませんが傑作、横山光輝「項羽と劉邦」 [歴史漫画]

自炊した横山光輝三国志、60巻を読み終えて、最近は横山光輝「項羽と劉邦」を読んでいる。内容が「史記」と被っていて存在意義が薄くなったような作品だが、やっぱり面白い。

知らない人のために一応書いておくと、「項羽と劉邦」は横山光輝の歴史漫画。万里の長城を作ったことで有名な始皇帝の秦と戦うために立ち上がった劉邦と項羽。この二人がやがて中国大陸の覇権を争い、漢という国を作るまでの話。ちなみにこの漢が滅び始めて三国志が始まる。
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項羽はマッチョ(よくコイツに戦いを挑めるもんだと思う)。劉邦は頼りない親分。いま劉邦軍50万を、項羽軍3万が打ち破るエピソードを読んでいるのだが、そこで敗走した劉邦が追手を懐柔して逃げのびるというシーンがある。
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天下統一の折には軍功第一とまで劉邦は言っているが、懐柔された丁公さんって、この後どうなったのか知らないなあと思って調べてみた。

劉邦が天下統一を果たした後に名乗り出たら殺されちゃったそうです。

理由はよくわかりませんが、ちょっとネットで調べてみたところ、敵の大将を見逃す奴を評価して、他の部下に真似されたらたまらん。と、いうことだそうです。なるほど。それにしてもひどい話だ。

項羽の性格がひどすぎて劉邦を善玉にするしかないんだけど、正義のヒーローというわけでもないんだよな、この人。おバカな所が人を惹きつけ、最強パーティーを結成。その辺は少年漫画の主人公の基本を押さえているけど、魔王を倒して世界を平和にしたら猜疑心の虜になって、仲間の僧侶や魔法使いを殺していくという。。。その辺は「史記」で読めます。

晩節の汚しっぷりは豊臣秀吉に通じるね。だから三国志の劉備が天下を取ったとしたら、孔明とかも殺されてたかもしれないね。

スクリーンショット 2016-04-11 23.56.03.png
子供の頃読んでいて意味わかんなかった本宮ひろ志版・項羽と劉邦の「赤龍王」のラスト見開き。本当に面白くなるのはここからだと思うんだよなあ。

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項羽と劉邦全12巻漫画文庫 (潮漫画文庫)

項羽と劉邦全12巻漫画文庫 (潮漫画文庫)

  • 作者: 横山 光輝
  • 出版社/メーカー: 潮出版社
  • 発売日: 2002/11/01
  • メディア: 文庫


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